研究課題/領域番号 |
23K14411
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
木村 丈司 神戸大学, 医学部附属病院, 薬剤師 (60973352)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ポリファーマシー / リアルワールドデータ / 潜在的に不適切な処方 / 薬剤師介入 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、リアルワールドデータ(RWD)を用いて本邦における潜在的に不適切な処方(PIMs)の処方動向を解析し、診療報酬を始めとしたポリファーマシー対策の有用性を評価し、対策の進展を目指すことである。 今年度の活動として、PIMsのうち、まずベンゾジアゼピン系睡眠薬に焦点を当て、その処方動向を評価した。RWDとしてはJMDC社の医療機関データを入手し、2015年4月から2022年3月の50歳以上の外来受診患者及び入院患者を対象に、ベンゾジアゼピン系睡眠薬、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬、オレキシン受容体作動薬を処方された全患者と長期処方(4週間以上継続処方)された患者を解析し、各薬剤群の長期処方率を月別・年齢群別に算出した。 結果として、ベンゾジアゼピン系睡眠薬及び非ベンゾジアゼピン系睡眠薬の長期処方率は、65歳以上、50-64歳の患者群ともに経年的に減少傾向をみとめた。一方、オレキシン受容体作動薬の長期処方率は、65歳以上、50-64歳の患者群ともに経年的に増加傾向をみとめた。 現在、上記の長期処方率の経年データについて、分割時系列分析を行っており、診療報酬改定(薬剤総合評価調整加算及び服用薬剤調整支援料の新設・改定)の影響を評価している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、RWDから1系統のPIMsについてデータ抽出を行い、処方動向の解析を実施する計画であった。上述の通り、データ抽出及び長期処方率の算出は実施できている。SQLを用いたRWDのデータ処理方法の確立に時間を要し、また分割時系列分析の手法確立にも現在時間を要しているため、計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PIMsとしてNSAIDsやスルホニル尿素薬、プロトンポンプ阻害薬の処方動向の評価及び分割時系列分析を実施する予定である。SQLを用いたRWDのデータ処理方法は概ね確立できているため、他の系統のPIMsの抽出・解析も実施可能である。分割時系列分析の手法についても、先行研究を参考に確立を進めており、確立できれば他の系統のPIMsの解析も進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
RWDとしてMDV社のデータを購入予定であったが、研究の発展性を考慮しJMDC社のデータを購入することに計画を変更した。結果として、データの購入費用が大きく低下した。一方で、解析用の端末や周辺機器の購入金額が当初よりも高額となったが、全体では予定金額よりも経費が低下したため、次年度使用額が生じた。 差額は次年度以降の物品購入費等に充てる予定だが、物価高騰により購入予定の物品や旅費が予定よりも高額となる恐れがある。
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