研究課題/領域番号 |
23K14428
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
土屋 雅美 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任講師 (10941247)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | がん生殖医療 / 周産期薬剤疫学 / 医薬品安全性情報 |
研究実績の概要 |
2023年度は妊娠可能年齢女性の抗がん薬処方実態について調査を行った.株式会社JMDCのレセプトデータベース(2005年1月~2023年7月)を使用し,子宮頸がんの病名が一度でも付与されたことのある患者で,罹患時年齢が妊娠可能年齢に該当する症例について,初回処方された抗がん薬を調査した.抗がん薬は処方年別・薬剤別・ASCO2013に基づく性腺毒性リスク分類別に記述的に示した. その結果,JMDCデータベースに含まれる17601720名のうち,2005年1月~2023年7月の期間に子宮頸癌と診断された妊娠可能年齢(15~49 歳)の患者は 12235名であった.そのうち,WHO-ATC codeが L01 抗悪性腫瘍薬の処方が少なくとも1回あった患者を抽出し,解析対象患者1,664 名を特定した.解析期間を通じて,処方された抗がん薬の約80~90%がASCO2013ガイドラインに記載がない薬(単剤)あるいは組み合わせであった.子宮頸がんで一般的に使用されるパクリタキセル+カルボプラチン+ベバシズマブの組み合わせや,カルボプラチン,ネダプラチン,イリノテカンなど,いずれもリスクが不明とされているものであった.また,処方された抗がん薬の中には,子宮頸がんの適応を有さないものも複数抽出されており,子宮頸がんの病名は付与されているものの,他のがんも併発した例などが含まれていることが示唆された. 現在様々ながん種に対して使用されている抗がん薬についての性腺毒性に関するエビデンスは不足していることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊娠可能年齢女性が多く罹患するとされる子宮頸がんについて,抗がん薬の処方実態を明らかにした.おおむね研究計画に遅れることなく進捗している.
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今後の研究の推進方策 |
妊娠可能年齢女性の罹患率が高い他疾患(血液腫瘍)についても同様の調査を行う.また,文献調査を行い,抗がん薬の性腺毒性に関する情報のアップデートや,改訂予定である本邦の妊孕性温存ガイドラインについて情報収集を行っていくとともに,がん治療後の妊娠アウトカムについての検討を進める.
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動があり,研究の遂行が一時滞ったことによる.今年度は解析に必要な機器類とデータベースの購入を行う.
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