研究課題/領域番号 |
23K14432
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
山崎 礼二 自治医科大学, 医学部, 講師 (00870718)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ミエリン / オリゴデンドロサイト / 脱髄 / mTOR |
研究実績の概要 |
多発性硬化症は代表的な脱髄性疾患であり、自己免疫などの異常に伴い発症するが、中枢ミエリンが障害されることによって運動麻痺や感覚障害が引き起こされる。しかしながら、現在再ミエリン化を促進させる治療薬は開発されておらず、新たな視点に基づく治療法開発が望まれている。 研究代表者はこれまでに、細胞保護機能を持つアミノ酸の脱髄予防効果を検証する過程で、mTORシグナルが亢進していることを見出した。そこで、本研究では研究代表者が見出したmTORシグナル活性化剤を用いて、脱髄モデルマウスに対する治療効果を検証すると供に、その作用機序を明らかにし、治療法開発へと展開することを目的とする。 まず、生後8週齢のC57/BL6マウスに0.2%クプリゾンとmTORシグナル活性化剤を含有した飼料を5週間経口摂取させることで脱髄モデルマウスを作製し、脱髄病変の組織解析を行なった。その結果、脱髄予防効果があるだけなく、ミエリン形成細胞であるオリゴデンドロサイトを有意に増加させることが明らかになった。また、これらのオリゴデンドロサイトは脱髄に伴い新生してきたものであることがわかった。 さらに、ミトコンドリアのマーカーを用いた組織染色によるシグナルが有意に増加していることから、ミトコンドリア機能の亢進も考えられた。最後にmTORシグナル阻害剤として知られるラパマイシンを投与することで、オリゴデンドロサイトの数が減少し、オリゴデンドロサイトの新生が抑制されている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの解析から、研究代表者が見出したmTORシグナルの活性化剤を脱髄モデルマウスに摂取させることでミエリン形成細胞であるオリゴデンドロサイトを有意に増加させることで、脱髄予防および再ミエリン化を促進させていることが見出された。また、標的部位であるmTORシグナルの阻害剤を用いた実験も順調に進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
治療候補化合物を摂取した脱髄モデルマウスにmTORシグナル阻害剤を投与した際のミエリンの形態を調べ、脱髄予防効果及び再ミエリン化促進効果について詳細に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた消耗品を購入しなかったため。 2024年度は治療候補化合物を摂取した脱髄モデルマウスにmTORシグナル阻害剤を投与することによって治療候補化合物の効果が抑制されるかを免疫染色法やin situ hybridization法、qPCR法によって調べる。さらに、電顕観察による微細構造レベルで解析を行う。これらの組織学的解析及び生化学的な解析に使用する試薬などの消耗品や実験器具、実験動物などを購入予定である。
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