研究課題
大規模疾患ゲノム解析手法であるゲノムワイド関連解析(genome-wide association study; GWAS)はこれまで多数の疾患感受性遺伝子を同定してきた。一方で、従来のGWASは解析の対象がゲノム上の小規模な遺伝子多型に限定され、より大規模な塩基配列の個人差である構造多型は見逃されてきた。本研究は、ロングリードシーケンス、ショートリードシーケンス、一塩基多型マイクロアレイの3層の大容量ヒトゲノムデータを効果的に組み合わせた統合解析により、日本人集団のゲノムに含まれる構造多型の網羅的な同定と、その疾患への寄与の解明を目的とする。本年度の研究においては、ロングリードシーケンス、ショートリードシーケンス、一塩基多型マイクロアレイのそれぞれのヒトゲノムデータが検出可能とする構造多型の特徴を概観するため、各種構造多型解析ツールの実データへの適用と相互比較を実施した。この結果、各技術が得意とする構造多型の種類が判明し、効率的な探索に資するパイプライン構築の方針が定まった。また、臨床的に指摘できる原因を有さない不育症・習慣流産(unexplained recurrent pregnancy loss)を対象とした大規模ゲノムデータ(およそ2万6千人)に構造多型解析を適用することで、本疾患の感受性に寄与するpredicted loss-of-funcitonコピー数多型の同定に成功した。
2: おおむね順調に進展している
実データへの構造多型解析ツール適用を実施し、疾患感受性に寄与する構造多型を同定できたため。
解析対象疾患を増やし、より幅広く疾患感受性に寄与する構造多型の同定を進めていく。
研究計画は順調に進んでおり、網羅的解析で得られた成果の独立した解析系による検証や、その成果を発表するための海外学会参加などに費用を予定している。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 2件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 9件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
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