研究実績の概要 |
重症下肢虚血では強い酸化ストレスにさらされているとされる。また、線維芽細胞によるコラーゲンの産生、架橋構造の促進は、下肢虚血の治癒過程において大切な役割を果たす。 今回我々は細胞外小胞に注目し、酸化ストレス負荷下においてマウス心筋細胞株(HL-1)から放出される細胞外小胞(EV)の、マウス線維芽細胞株(NIH-3T3)に対する影響を検証した。まず、マウス心筋細胞株HL-1に対して、異なる濃度の酸化ストレス負荷(0, 50, 100, 200μM)を行い、EVを回収した。回収したEVは、酸化ストレス負荷の濃度依存的に回収量が多かった。回収したEVを、マウス線維芽細胞株NIH-3T3の培養中に添加したところ、Acta2の発現は抑制された。酸化ストレス負荷下では、心筋細胞より放出されたEVが線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化およびコラーゲンの産生を抑制することで、創傷治癒が抑制される可能性が示唆された。次年度には、心筋細胞由来EV中のmiRNAや線維芽細胞の遺伝子発現についての網羅的解析を行い、分子機構を解明する。
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