研究課題/領域番号 |
23K14482
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
永田 真莉乃 埼玉医科大学, 医学部, 助教 (20816863)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / びまん性大細胞型B細胞リンパ腫 / リツキシマブ / 腫瘍微小環境 |
研究実績の概要 |
悪性リンパ腫のうち、もっとも多い亜型であるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫 (DLBCL) においては、抗CD20抗体であるリツキシマブと化学療法を組み合わせたR-CHOP療法が標準治療であり、DLBCLの予後を改善させた。リツキシマブはエフェクター細胞であるNK細胞やマクロファージを引き寄せ、ターゲットとなるリンパ腫細胞を貪食する抗体依存性細胞傷害(ADCC)を引き起こす。R-CHOP療法抵抗性のある症例は、このADCC活性に何らかの抑制がかかっていることが予想される。リツキシマブのADCC活性を上昇させるために、腫瘍微小環境およびリンパ腫細胞それぞれの研究や、新規治療法の開発がすすめられているが、リツキシマブ抵抗性を示すリンパ腫細胞自体が、周囲の微小環境に影響を与えうる因子については、未だ知見が乏しい現状がある。本研究においては、リンパ腫細胞が腫瘍微小環境、特に免疫微小環境に影響を与えうる因子を同定し、リンパ腫細胞と腫瘍微小環境をつなぐ因子を明らかにすることでリツキシマブ抵抗性を改善すること、またそれによるDLBCLの分子基盤の一端の解明を目的としている。現在は、一次スクリーニングとして、公共データベースを用いてデータセットを作成、解析し、候補遺伝子を絞り込んでいる。また、同定した遺伝子を発現するリンパ腫細胞がいかなる臨床病理学的特徴をもつか検討する際に向けて、実際のDLBCL症例の組織マイクロアレイブロックを作製し、HE染色標本で形態学的特徴を抽出し、免疫組織化学を用いてリンパ腫細胞や腫瘍内浸潤する非腫瘍性炎症細胞の免疫形質の検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
交付申請書における研究実施計画では、初年度に公共データベースを用いて絞り込んだ遺伝子群について、DLBCL細胞株に遺伝子導入し、ADCC活性の検討やリツキシマブに影響を与えうる因子を次世代シーケンシングを用いて同定することなどを予定していたが、データセットの作成・解析に遅れが生じており、計画全体が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
公共データベースを用いたデータセットの作成は終了し、シークエンスを順次行っているため、今後も引き続きシークエンスを中心に以後の計画を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究実施計画通りに研究が進んでいないため、次年度使用額が生じている。次年度には遅れている研究を進め、これを使用する。
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