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2023 年度 実施状況報告書

C型レクチン受容体Clec12bを介したマスト細胞の活性化制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14498
研究機関筑波大学

研究代表者

松田 研史郎  筑波大学, 生存ダイナミクス研究センター, 助教 (70642619)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードアトピー性皮膚炎 / マスト細胞 / Clec12b / ATP / P2RX7
研究実績の概要

アトピー性皮膚炎(AD)に対するClec12bの機能解析のため、野生型及びClec12b欠損マウスに対してダニ抗原(HDM)を塗布することでAD様皮膚炎を誘導し、臨床症状、皮膚病理所見(炎症性細胞浸潤、表皮層の肥厚)を解析したところ、Clec12b欠損マウスでは、野生型マウスと比較して有意に病勢が悪化した。また、皮膚マスト細胞の脱顆粒が亢進した。Clec12bが皮膚マスト細胞に選択的に発現していることから、Clec12bが皮膚マスト細胞の活性化を制御するとの仮説のもと、皮膚由来培養マスト細胞を作出し、HDM由来因子(HDM、Derf2、LPS)及びHDMによって放出されるDAMPであるATPで刺激したところ、皮膚由来マスト細胞は、ATPで脱顆粒した。さらに、ATP受容体の発現を解析したところ、P2RX7を発現していることが分かった。そこで、皮膚由来培養マスト細胞に対してP2RX7選択的拮抗剤を添加し、ATP刺激による脱顆粒を解析したところ、P2RX7選択的拮抗剤添加によって脱顆粒は完全に抑制された。このことから、皮膚マスト細胞はATP刺激によって脱顆粒し、Clec12bはATP依存的な脱顆粒を抑制すると推論した。そこで、野生型及びClec12b欠損マウスに対してATPを投与し、皮膚マスト細胞の脱顆粒を解析したところ、Clec12b欠損マウスの皮膚マスト細胞では、野生型マウスと比較して脱顆粒比率が有意に増加した。また、皮膚マスト細胞も培養マスト細胞と同様にP2RX7を発現していたがP2RX1やP2RX4などの他のATP受容体は発現していなかった。これらのことから、Clec12bはATP-P2RX7依存的な脱顆粒を制御することで、ダニ抗原誘発性皮膚炎を制御していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画通りに、Clec12bによる皮膚マスト細胞の制御機構の一端を解明できた。Clec12bが細胞内領域にITIMを有することから、IgE依存的なマスト細胞の活性化も制御すると推論される。現在、IgE-FcεRIとClec12bを共刺激することでマスト細胞の活性化が制御されるか解析中である。次年度は、Clec12bに対する機能的リガンドを同定予定である。

今後の研究の推進方策

Clec12bを含むC型レクチン受容体の多くは、タンパク質を修飾する糖鎖を含めた立体構造を認識する。そこで、Clec12bが糖鎖を認識すると仮定し、マウスClec12b-Fcを加え、糖鎖アレイにより特異的に結合する糖鎖を同定する。さらに、糖鎖アレイにより同定された候補因子をBSAと結合させ、プレートに固相化し、Clec12b-Fcとの結合をELISA法により解析する。また、トランスフェクタントによりClec12b発現レポーター細胞を樹立し、レポーターアッセイにて膜型Clec12b-Fcの結合を確認する。
Clec12bに対する機能的リガンド同定後、野生型及びClec12b欠損マウスに対してHDM誘導性皮膚炎を誘導し、ポリアクリルアミド骨格を付加したClec12bリガンドを皮内投与し、皮膚炎の臨床症状スコアを解析する。また、皮膚マスト細胞の細胞数、脱顆粒、表皮層の肥厚、炎症性細胞の浸潤を病理組織学的手法及びFACSにて定量する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] Functional analysis of a C-type lectin receptor in atopic dermatitis.2023

    • 著者名/発表者名
      Ayana Iijima, Kenshiro Matsuda, Akira Shibuya
    • 学会等名
      The 20th International Joint Mini-symposium on Molecular and Cell Biology
  • [学会発表] Functional analysis of a C-type lectin receptor in atopic dermatitis.2023

    • 著者名/発表者名
      Ayana Iijima, Kenshiro Matsuda, Kazuko Shibuya, Akira Shibuya.
    • 学会等名
      Tsukuba Conference 2023
  • [学会発表] The C-type lectin receptor Clec12b suppresses mast cell activation in the skin and regulates house dust mite-induced dermatitis.2023

    • 著者名/発表者名
      Ayana Iijima, Kenshiro Matsuda, Kazuko Shibuya, Akira Shibuya.
    • 学会等名
      The 52nd Annual Meeting of the Japanese Society for Immunology

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公開日: 2024-12-25  

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