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2023 年度 実施状況報告書

抗菌薬と抗菌ペプチド耐性に関与する肺炎球菌膜輸送体の機能構造解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K14518
研究機関大阪大学

研究代表者

田口 厚志  大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (20908686)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード肺炎球菌 / 薬剤耐性菌 / 薬剤排出ポンプ / ABCトランスポーター / 膜輸送体
研究実績の概要

近年抗菌薬が効かない薬剤耐性菌が引き起こす感染症が臨床現場において大きな問題となっている。こうした薬剤耐性菌が持つ抗菌薬や抗菌ペプチドに対する耐性化機構の解明は、多剤耐性細菌感染症の治療戦略の創出に重要な役割を果たす。本研究は今まで注目されてこなかった肺炎球菌の薬剤排出ポンプの役割に着目し、抗菌薬耐性機構への関与を解明することで肺炎球菌感染症治療に貢献することを目指している。
本研究ではまず膜輸送体を過剰発現させた肺炎球菌ライブラリに対する抗菌ペプチド感受性試験から抗菌ペプチド耐性に関与する膜輸送体因子を同定することを目指した。本年度は代表的な抗菌ペプチドに対する感受性試験を行い、グラム陽性菌に広範に作用するリポペプチド系抗菌薬に対する耐性に関与する膜輸送体Yを同定した。膜輸送体Yがリポペプチド系抗菌薬の耐性に関与するという報告はされておらず、この膜輸送体について今まで明らかになっている情報からその耐性機構を推測することは困難である。このことは膜輸送体Yが未知の機能を持つことを示唆している。
また本研究では別の抗菌薬への耐性に関与する肺炎球菌膜輸送体Xの基質認識機構を生化学的アプローチと構造解析を組み合わせることで明らかにすることを提案した。膜輸送体XはABCトランスポーターであり、ATP加水分解に伴い産生されるエネルギーを用いて基質を輸送する。本年度はクライオ電子顕微鏡を用いた膜輸送体Xの構造解析に成功しており、基質輸送メカニズムの解明に向けての研究が進められている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

提案した研究計画に基づき研究を進めることができている。

今後の研究の推進方策

今後は新規に同定した膜輸送体Yについてどのようなメカニズムで抗菌薬耐性に寄与しているのかを明らかにするとともに、膜輸送体Xについて引き続き生化学・構造生物学アプローチを用いた基質輸送メカニズムの解明を目指す。

次年度使用額が生じた理由

本年度は前年度に購入した試薬やプラスチック消耗品を用いることができたため計画よりも物品費の支出が抑えられているが、これらの試薬・消耗品は使用したため次年度は物品費の支出が増える見込みである。本年度の旅費については二国間交流事業の助成金を充てたが、二国間交流事業の委託期間が満了したことから次年度は本科研費を学会発表に伴う経費に充てる計画である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Functional and structural characterization of Streptococcus pneumoniae pyruvate kinase involved in fosfomycin resistance2023

    • 著者名/発表者名
      Taguchi Atsushi、Nakashima Ryosuke、Nishino Kunihiko
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 299 ページ: 104892~104892

    • DOI

      10.1016/j.jbc.2023.104892

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Pyruvate kinase mediates fosfomycin resistance in Streptcoccus pneumoniae2023

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Taguchi
    • 学会等名
      ASM Microbe
    • 国際学会
  • [学会発表] Defining the role of membrane transporters in pneumococcal antimicrobial resistance2023

    • 著者名/発表者名
      Atsushi Taguchi
    • 学会等名
      Molecular Genetics of Bacteria and Phages Meeting
    • 国際学会

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公開日: 2024-12-25  

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