研究課題/領域番号 |
23K14538
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
藤澤 宗太郎 金沢大学, 医学系, 助教 (40965505)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | CD8陽性T細胞 / T細胞疲弊 |
研究実績の概要 |
疲弊CD8陽性T細胞 (Tex) は、転写因子TCF-1を発現する初期疲弊CTL (Tpex) と、TCF-1陰性の終末疲弊CTL (Ttex) とに分類されるが、その進展メカニズムについては未だ不明な点が多い。本研究ではTCF-1の機能を調節する作用を持つ転写抑制補因子Tle1に着目し、Tex分化におけるTle1の機能解析を通じて、Texの進展制御機構の解明を目指す。本年度は下記 (1) 及び (2) の研究を主に行った。
(1) 申請者はナイーブマウスより分取したCD8陽性T細胞をin vitroにおいて持続的な刺激に曝露することで疲弊状態を誘導する実験系を樹立したが、細胞の生存率が安定せず、最適化を行った。従来の抗CD3/CD28抗体を用いたポリクローナルな刺激ではなく、エピトープペプチドを用いた刺激に変更し、さらに培養時に添加するリコンビナントIL-2の濃度を調整することで、高い生存率を維持しつつ疲弊様の形質を誘導することが出来た。また、レトロウイルスベクターを導入したCD8陽性T細胞に対して同様に持続的な刺激を加えることで免疫チェックポイント分子の高発現などを認め、in vitroにおける疲弊誘導実験にレトロウイルスベクターによる遺伝子編集を組み合わせた実験系の準備が整った。
(2) CD8陽性T細胞に対してTle1の過剰発現を行うために、MSCVレトロウイルスベクターにマウスTle1遺伝子を導入し、発現ベクターを構築した。発現ベクターを哺乳類細胞に導入して得たレトロウイルスをCD8陽性T細胞に感染させ、GFPレポーターの発現によりCD8陽性T細胞にTle1を効率よく導入できていることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウスTle1遺伝子のクローニングが想定以上に難航し、レトロウイルスベクターの構築に時間を要してしまったため、進捗状況としてはやや遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
レトロウイルスベクターによりTle1遺伝子を過剰発現させたCD8陽性T細胞に対してin vitroにおける疲弊誘導を行い、細胞増殖や疲弊マーカーの発現、及びサイトカイン産生等について解析を行う。また、ウイルス急性及び慢性感染に対する生体内での応答についても解析し、Tle1がCD8陽性T細胞のメモリー分化及び疲弊に与える影響を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定と比べて研究の進捗に遅れが生じたため、2023年度に実施予定であった次世代シーケンス実験等を行うことができなかった。2024年度はin vitroで誘導した疲弊様CD8陽性T細胞の遺伝子発現及びクロマチン構造をRNA-seq及びATAC-seqで解析するとともに、TCF-1のゲノムへの結合をCUT&RUNにより解析する予定であり、試薬や次世代シーケンス解析に助成金を使用する。また、マウスのウイルス感染実験を複数回予定しており、マウス購入費や管理飼育費に使用する。さらに、CRISPR-Cas9によるTle1遺伝子のノックダウン実験も予定しており、sgRNAや試薬類を購入する予定である。
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