研究実績の概要 |
①乳癌細胞株TP53野生型MCF7、TP53変異型MDA-MB-231(R280K), SKBR3(R175H), MDA-MB-468(R273H)を用いて、14-3-3γ,MDMX,p53の発現をウェスタンブロッティングで確認した。TP53野生型MCF7ではp53の発現は発現低下を認め、変異型の3種類はそれぞれ発現亢進を認めた。一方でMDMXの発現は、過剰発現が報告されているMCF7で発現亢進していることを確認した。次にプロテアーゼインヒビターのMG132投与下でDNA障害からリン酸化を誘導するため、doxorubicinをMCF7とMDA-MB-231細胞株の培地に添加した。14-3-3-γと結合すると予想されるMDMX ser367, ser342のリン酸化が1、2、3時間後に経時的に増加することをウェスタンブロッティングで確認した。更に、MDA-MB-231細胞株から抽出したタンパク質を用いて共免疫沈降を行い、リン酸化誘導下において14-3-3γとMDMX ser367, ser342の実際の結合をウェスタンブロッティングで確認した。 ②MDA-MB-231細胞株と同じトリプルネガティブタイプの乳癌の、術前化学療法未施行の手術病理検体を用いて(原発巣、リンパ節転移)、p53、14-3-3γの免疫染色を行い、リンパ節転移との相関について調査中である。 ③第29回日本遺伝性腫瘍学会学術総会でAYA世代の乳癌患者における、周術期のBRCA1/2遺伝学的検査の実施状況についての発表を行った。第31回日本乳癌学会学術総会で、がん包括的ゲノムプロファイリング検査による乳癌の遺伝性腫瘍と乳癌細胞におけるTP53等の病的遺伝子変異の発現状況についての発表を行った。上記の学会において、本研究分野についての学識を深めた。
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