研究課題/領域番号 |
23K14603
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
目澤 義弘 順天堂大学, 医学部, 助教 (50966538)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 癌微小環境 / 大腸癌 / 癌関連線維芽細胞 / 分子サブタイプ |
研究実績の概要 |
がんの分子サブタイプ分類は病態の正確な理解だけでなく、分子標的薬の開発に効果的なアプローチとして多くのがん種で進められてきた。大腸癌においてもコンセンサス分子サブタイプ(consensus molecular subtype: CMS)が提唱されている。CMSタイプが癌微小環境の性状にも影響していることが明らかになりつつあるが、CAFsとの関連については多くの不明点が残されている。本研究では複数の大腸癌患者から癌オルガノイドとCAFs、非腫瘍部位線維芽細胞を樹立しそれらの相互作用をin vitro, in vivoで解析することで、癌のコンテキストによる癌-間質相互作用の違いを明らかにし、新規の治療標的を探索することを目的としている。当該年度、新規の細胞の樹立と相互作用の評価系の開発を行った。癌オルガノイドと線維芽細胞を免疫不全マウスの皮下に共移植し、腫瘍増殖や病理組織像の評価を行い、患者由来線維芽細胞の癌増殖への影響をin vivoで解析する実験系の樹立を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者検体からの細胞樹立手順の最適化により安定した樹立効率が得られており、検体の蓄積が順調に進展している。さらに、それらの解析からin vivoでの癌増殖や遺伝子発現解析においても患者間不均一性が見出されており、今後それらの差異を明らかにすることで目的を達成できると思われたため。
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今後の研究の推進方策 |
継続して患者検体からの細胞樹立を行い、様々な表現型を示す癌オルガノイドとCAFsのペアを見出していく。それらの遺伝子発現やドライバー遺伝子のプロファイリングなどを通じて、癌のコンテキストと癌-間質相互作用の影響に関連性を見出していく。in vivoで癌促進的や抑制的な作用が見出されている症例に関しては、オルガノイドにGFPを導入してFACSソート後にRNA-seq解析を行い、in vivoでCAFsが癌進展を制御するメカニズムの解析を進める。また、in vitroの共培養実験を複数の症例で行い、効率的にCAFsが癌の性質に与える影響やそれが出現する癌の背景を明らかにすることを目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウス内での癌細胞の増殖が当初の予想よりも遅く実験の進行が遅延したため、次年度の動物実験費用として繰り越した。
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