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2023 年度 実施状況報告書

包括的網羅解析によるPARP阻害剤薬剤耐性メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14606
研究機関大阪医科薬科大学

研究代表者

辻野 拓也  大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (60937407)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワード前立腺癌 / 薬物耐性 / PARP阻害
研究実績の概要

前立腺がんは男性における罹患数が第一位(2018年時点)の疾患であり、去勢抵抗性前立腺がん(CRPC)の5年生存率は依然として低く新たな治療法の開発が喫緊の課題となっている。PARP阻害剤(Olaparib、Rucaparib、Niraparib、Talazoparib)は、治療抵抗性の様々な固形がんにおいて有効性が示されている。しかしながら、乳がん、卵巣がんにおいてもすでに臨床的に認められているPARP阻害剤の薬剤耐性克服は困難を極めている。そして今後PARP阻害剤普及に伴い、前立腺がんにおいても今後同様の課題が生じるのは必至である。本研究課題では、Multi-omics解析とCRISPRスクリーニング解析により、PARP阻害剤の薬剤耐性に関わる遺伝子、およびそのメカニズムを解明し、克服法の開発を目指す。前立腺がん細胞株C4-2Bの樹立したPARP阻害剤耐性細胞株C4-2BRにおけるWhole exome sequencingにより189遺伝子の変異が確認された。そのうちCRISPRスクリーニング解析のPositive selectionから同定された抵抗性遺伝子と共通のPARP1を含む5つの遺伝子が同定された。これらの機能喪失によりPARP阻害剤抵抗性を検証するため、ノックアウト細胞株を作製しそれらのPARP阻害剤感受性を増殖アッセイ、およびマウス皮下移植モデルにより検証中である。また同細胞のRNA sequencingの結果から親株と比較して高発現している956遺伝子を同定した。そのうち8遺伝子がそのノックアウトによりPARP阻害剤と合成致死を誘導することがCRISPRスクリーニング解析より確認された。現在、これらのノックアウト細胞株および阻害剤によりPARP阻害剤の感受性を検証中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたPARP阻害剤耐性細胞株の樹立、それに対するRNA-sequencing、およびWhole exome sequencingによりPARP阻害剤耐性に関わる遺伝子変異を同定に至ったため。

今後の研究の推進方策

前述の同定された遺伝子のノックアウト細胞株、および阻害剤を用いてPARP阻害剤感受性を検証する。感受性変化が検証された遺伝子については、それらの遺伝子がPARP阻害剤耐性を引き起こすメカニズムに関して関連する機能解析を行う。それらの結果を学術集会、および論文として報告していく予定である。

次年度使用額が生じた理由

Whole exome sequencing、RNA-sequencing、プロテオーム解析がキャンペーンにより安価で施行できたことから、次年度への機能解析、およびマウス購入費として使用予定としたため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [国際共同研究] Brigham & Women's Hospital/Department of Urology(米国)

    • 国名
      米国
    • 外国機関名
      Brigham & Women's Hospital/Department of Urology
  • [雑誌論文] Real-world survival outcome comparing abiraterone acetate plus prednisone and enzalutamide for nonmetastatic castration‐resistant prostate cancer2023

    • 著者名/発表者名
      Tsujino Takuya, Tokushige Satoshi, Komura Kazumasa, et al
    • 雑誌名

      Cancer Medicine

      巻: 12 ページ: 19414~19422

    • DOI

      10.1002/cam4.6536

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] PARP阻害剤薬剤耐性克服法の開発2024

    • 著者名/発表者名
      辻野拓也、高井朋聡、小村和正、稲元輝生、東治人
    • 学会等名
      第33回 泌尿器分子・細胞研究会
  • [学会発表] nmCRPC治療におけるアビラテロンおよびエンザルタミドの比較~リアルワールドデータ~2023

    • 著者名/発表者名
      辻野拓也、小村和正、橋本剛、高原健、稲元輝生、木村高弘、大野芳正、白木良一、東治人
    • 学会等名
      第61回 日本癌治療学会
  • [学会発表] Elucidating Key Genetic Determinants of PARP Inhibitor Sensitivity in Prostate Cancer through Genome-wide CRISPR-Cas9 Screening2023

    • 著者名/発表者名
      Tsujino Takuya, Takai Tomoaki, Komura Kazumasa, Inamoto Teruo, Azuma Haruhito
    • 学会等名
      The 3rd International Congress of the Asian Oncology Society
    • 国際学会
  • [学会発表] 複数遺伝子変異が及ぼすPARP阻害剤感受性への影響2023

    • 著者名/発表者名
      辻野拓也、南幸一郎、小村和正、上原博史、平野一、能見勇人、稲元輝生、東治人
    • 学会等名
      第110回 日本泌尿器科学会総会

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公開日: 2024-12-25  

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