研究課題/領域番号 |
23K14628
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
岡東 篤 帝京大学, 医学部, 助教 (90756719)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | 膀胱癌 / 遺伝子改変モデルマウス / FGFR3 / FGFR阻害薬 / 免疫チェックポイント阻害薬 / 腫瘍免疫環境 |
研究実績の概要 |
本課題は2021年度の研究活動スタート支援の課題を継続としたものである。 申請者はヒトFGFR3遺伝子変異を有するマウスを作成し、マウス膀胱に発生させた膀胱癌を用いてFGFR3遺伝子異常がもたらす腫瘍免疫環境の変化や、FGFR阻害薬(Erdafitinib)と免疫チェックポイント阻害薬(Pembrolizumab)の併用療法の可能性について検証した。FGFR3遺伝子異常を有する膀胱癌は、これまでの報告と同様にluminal subtypeに分類され、腫瘍免疫が乏しいことを確認した。in vivoの実験として、我々が樹立した細胞株をマウス(C57BL/6)の皮下に同種移植し、ErdafitinibとPembrolizumabの単独療法と併用療法の効果と免疫環境の変化について検証した。その結果、併用療法で最大の腫瘍抑制効果を示す一方、免疫チェックポイント阻害薬単独投与群において、腫瘍の過増悪が確認された。フローサイトメトリーにより、免疫チェックポイント阻害薬投与群において制御性T細胞(Treg)が増加し、FGFR阻害薬併用群ではTregが顕著に減少していることが確認された。過去の報告と我々の研究から抗Pd-1抗体投与による腫瘍免疫環境におけるTreg増加は、FGFRが駆動している可能性が示唆された。公共のデータベースからRNA解析を行ったところ、Tregの表面にはFGFR 2,3,4に比べ、FGFR1が多く発現していることが確認され、FGFR阻害薬がTregを抑制することによって抗腫瘍効果を発揮する可能性を提唱した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の成果は論文として発表した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、FGFR変異を有する膀胱癌においてFGFR阻害薬と免疫チェックポイント阻害薬併用療法を臨床応用させる根拠となると考える。今回、FGFR3遺伝子変異について解析を始めたが、FGFR1の意外な役割が示唆され、今後はさらにFGFR1遺伝子とTregの関連性について追求していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請者の研究機関の異動が決定し、新たな試薬品、器具の購入のため使用予定
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