研究課題/領域番号 |
23K14639
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
足立 雄太 愛知県がんセンター(研究所), がん標的治療TR分野, 研修生 (30833842)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | KRAS |
研究実績の概要 |
Hippo経路はMST、LATSの2つのキナーゼが転写共役因子であるYAPもしくはそのパラログであるTAZを負に制御するシグナル伝達経路である。すなわちKRASG12C阻害薬曝露後のYAP活性化の誘導メカニズムとしてHippo経路の活性化低下の挙動が重要な因子であり、YAPに加えてLATS及びMST のリン酸化の挙動をWestern blotを用いて解析した。その結果、LATS,MSTともにKRAS阻害薬投与後にリン酸化が低下していた。さらに上流制御因子の解析を進めた結果、膜タンパクであるScribbleがHippo-YAPシグナル伝達経路に関与していることを同定した。ScribbleはYAPを細胞質に保持し、KRAS阻害薬投与により、Scribbleが膜から離れると、YAPもフリーの状態となり、核移行することを、免疫染色およびウエスタンブロッティング法により明らかにした。さらに、YAPの下流分子として、RASスーパーファミリーのひとつであるMRASを同定した。MRASはTEAD/YAPによって直接制御されており、MRASの発現誘導により、MAPKが再活性化することが明らかとなった。MRASのノックアウトはKRAS阻害薬の効果を増強することをin vitro, in vivoで示すことができた。さらに、YAPの下流シグナルの分子として複数の標的を同定しており、今後順次評価を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
YAPの制御について膜タンパクであるScribbleが関与することを示すことができた。下流についても候補分子を同定している。
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今後の研究の推進方策 |
YAPの下流の標的分子について、Chip assayを行い、YAPによる制御を確認する。また同定した分子の表現型を明らかにするために、CRISPR-Cas9によるノックアウトを行い、in vitroにおける細胞増殖アッセイやin vivo マウス皮下腫瘍モデルを用いてKRASG12C阻害薬のadaptive resistanceを克服できるかどうかを検討する。現在のところ解析はKRASG12C変異肺癌細胞株を用いて行うが、より生体に近い系での評価を可能とするために患者由来KRASG1 2C変異肺癌オルガノイドについても作成を試み、同表現型が得られるかどうかを解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた実験に遅れが生じたため、次年度に使用することにした。
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