研究課題/領域番号 |
23K14649
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
北尾 章人 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40616455)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 悪性リンパ腫 / 中枢神経浸潤 / バイオマーカー |
研究実績の概要 |
悪性リンパ腫には多様な病型があり、標準治療が確立しているびまん性大細胞型B細胞リンパ腫のような病態においては、進行期であっても化学療法によって治癒を目指す事が期待できる一方で、再発症例の予後は依然として満足できるものではない。特に中枢神経に再発した場合は、予後が極めて悪いものとなってしまう。また、中枢神経の再発は、その特性上本人の運動障害や感覚障害など日常生活の質が著しく低下してしまう事によって、治療選択肢も限られたものになる場合が多い。そのため予防が重要であるが、予防的に実施される抗がん剤の髄腔内投与については侵襲的な手技であり、合併症として脊髄損傷なども懸念される。実際に我々が悪性リンパ腫に対して予防的抗がん剤髄腔内投与を行い、脊髄後策障害を来した症例を経験しており、2024年に論文化した。(Intern Med.2024;63:547)すなわち、抗がん剤の髄腔内投与はより高リスク群に絞った適応が重要であると考える。その同定のため、リンパ腫における中枢神経浸潤を発症した患者について髄液検体等を採取し、高リスク群遺伝子同定のための研究を進めている。比較のため、予防的髄注を実施した患者についても遺伝子同定を進め、中枢神経再発を来した群と比較し臨床情報と突き合わせる事で重要なリスク因子である遺伝子異常を同定することを目指している。このような中枢神経に病変を伴うリンパ腫は、全体の中でも希少集団に相当するため、症例集積をしながら研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
DLBCLの治療は近年選択肢が急速に増えており、治療進歩が著しい。現在CNS再発・病変をきたす患者割合が減少してきており、当該患者の症例集積、解析検体の採取に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
保存されている検体での検討を進める。また、関係他領域・他施設に当該症例についての情報提供、紹介を依頼していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度については、検体採取・症例集積に終始しており、実際の解析作業を行えなかった。次年度以降に解析作業を進めていく予定である。
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