研究課題/領域番号 |
23K14699
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
宮崎 峻弘 東京医科大学, 医学部, 臨床助教 (90934208)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 神経の機能回復 / 神経の機能局在 / 運動機能評価 / カルシウムイメージング |
研究実績の概要 |
脳は機能局在を有しており、梗塞や外傷等で特定部位に障害を受けることで部位に応じた特定の機能障害が生じるが、その機能障害は時間経過とともに多少改善する。この機能回復過程は他の脳領域の神経回路が可塑的な変化を起こし機能代償した結果とされる。本研究ではその可塑的変化による機能局在の再構築過程を理解することが目的であり、この成果は神経科学的な観点からのより優れたリハビリテーションなどにも繋がると考えられる。 本研究はマウスを対象とした基礎研究であり、マウスの運動機能に焦点を当てて、適切に運動機能障害を生じさせたマウスの回復過程に、カルシウムイメージングを用いた神経回路の活動を観察し、解析するという実験過程を想定している。 そこで初年度はマウスに対して安定した運動機能障害を作成し、その運動機能をトレッドミル装置を用いて正確に評価する手法の開発について実施した。当初想定していた運動機能障害作成手法では、運動機能障害の発生率が低く、その後のカルシウムイメージングの実験を安定的に行うことが困難であったが、学会に参加することで得られた手法を参照することで安定した運動機能障害作成手法を確立できた。また、トレッドミル装置を一部変更することで、運動機能障害をより鋭敏且つ安定的に検知することが可能となってきている。現在これらの結果を得ている過程であり、今年度以降には学会等への報告を検討している。 また、これらの手法を用いることで、カルシウムイメージングによる神経回路の活動の観察も行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の最終目的は、脳神経における可塑的変化による機能局在の再構築過程を理解することである。そのため、初年度に運動機能障害及び機能評価手法を確立し、解析まで終えている予定であったが、想定よりも運動機能障害の発生率が低かったため、手法の変更を余儀なくされた。そのため、これから運動機能障害手法および機能評価手法の解析を行う段階であり、やや遅れていると考えられる。ただ、予備実験の段階で運動機能障害手法および機能評価手法は以前の手法と比較し大幅な改善が見られており、今後は安定した進捗が得られる可能性が高いと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、運動機能障害手法および機能評価手法のデータ取得及び解析を行っていく予定である。今年度中には解析も終え、その後は学会報告や論文化も検討する。 また、解析後は運動機能障害マウスのカルシウムイメージングを計画する予定であり、今年度中に予定を立てる段階まで進捗する予定である。なお、カルシウムイメージングについては既に確立している技術であることから、今後の進捗の遅れは少ないと予想されるが、進捗の遅れを取り戻すため努力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は実験の進捗が遅れたため、運動解析用ワークステーションを必要としなかったため購入予定であったワークステーションの購入を延期し、未使用額が発生した。しかし、今年度は運動解析を行うためワークステーションを購入する予定であることから、次年度使用額とした。 一方で、運動機能障害手法および機能評価手法を改めたことで、障害作成装置及びトレッドミル装置の変更が必要であったことから、そこへは追加の設備投資が必要となった。今後も適切な研究推進計画を行っていく。
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