研究課題/領域番号 |
23K14739
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
山下 駿 佐賀大学, 医学部, 特任准教授 (10789415)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 感染性心内膜炎 / 臨床予測モデル / 原因不明の発熱 / 多施設前向き観察研究 |
研究実績の概要 |
本研究は、我々が先行研究で開発し、4つの大学病院で検証した、原因不明の発熱症例における感染性心内膜炎の予測モデルを、市中病院を含む日本全国の病院で前向きに検証し、モデルのさらなる精度の向上を図るため、重症度や病院種別ごとにモデルの再構築と検証を行うことを目的としている。 申請時の研究計画調書に記載している通り、2023年4月から日本病院総合診療医学会を通じて研究施設を募った。各病院へ研究概要の説明を行い、結果として、申請時に予定していた12施設から18施設まで増加した。申請当初は、総合診療部門だけでなく、全ての診療科に入院した原因不明の発熱患者および感染性心内膜炎患者を対象とする予定だったが、各研究参加病院の実現可能性を考慮し、対象を総合診療部門に入院した患者に限定することとした。総合診療部門は、原因不明の発熱患者が多く集まる診療科であり、感染性心内膜炎においても、外来で診断が容易ではない症例が多く含まれることから、対象を総合診療部門に制限することは、対象を総合診療部門に制限することは、真に診断が困難な発熱症例から感染性心内膜炎の予測するモデルを開発できるという利点もあると考える。 セッティングと対象者を変更し、zoom会議を用いて、全研究参加病院の研究メンバー(研究チーム)へ繰り返し研究概要と対象者の組み入れ基準を説明した。調査項目を入力するシートや各協力機関で入力するデータベースExcelファイルを作成し、各協力機関とブラッシュアップを重ね、最終版を作成した。主研究機関である佐賀大学での倫理委員会で研究計画が承認され、各施設の倫理委員会でも承認を得た。研究の概要や注意事項、および各施設の代表者からの質問内容を共有するプラットフォームを作成し、運用を開始した。2024年3月31日までに、調査開始前の準備が整い、2024年4月1日より全研究協力病院で一斉に調査を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究参加病院の募集、各病院の代表者への研究概要の説明、日本全国の18の研究参加病院の獲得、各代表者との実現可能性を考慮した研究方法の再検討、各病院での倫理委員会での研究の承認、全研究参加病院の研究チームと研究の進捗状況の確認や相談事項の共有のためのプラットフォームを作成し、2024年4月1日から全病院で一斉に調査を開始できたことから、順調に研究が進展していると判断している。 申請当初の計画書と異なる点は、研究に参加する診療科を総合診療部門に限定したこととである。理由は、いくつかの病院、特に市中病院で、全診療科を対象にすることで実現可能性が低下することが考えられたためである。研究実施の実現可能性を高めることは極めて重要であり、今回の変更はやむを得ないと判断している。 研究の進捗状況はおおむね順調であり、2年目以降も順調に研究計画書に記載している事項を問題なく遂行することが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年4月1日より、全研究協力病院で一斉に調査を開始した。2024年4月末には、研究の進捗状況や問題点を確認するためのオンライン会議を全協力病院と行う。その後は、事前に作成したプラットフォームで情報共有を行いながら、2か月に1回のオンライン会議を継続する。問題が生じた際は適切かつ迅速に対応する。申請時の予定通り、2025年3月31日までデータ収集を行い、2025年4月1日からデータを整理する。未入力や誤入力のデータのうち、確認や修正が可能なデータは修正し、解析を行う。解析結果を研究チームで共有し、結果を解釈する。必要あれば、二次解析も行い、学会発表および論文作成を行う予定である。ただし、本研究で最も重要となる感染性心内膜炎患者の登録数が予定よりも少ない場合(予定:150例)、調査期間を延長することも検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度からのデータ収集に人的コストがかかるため、当初の予定より人件費が必要と判断した。また、データ管理用のノートパソコンの購入も予定しており、繰り越しを行った。
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