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2023 年度 実施状況報告書

がん悪液質による脂肪分解機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K14747
研究機関東京理科大学

研究代表者

笠井 智香  東京理科大学, 薬学部薬学科, 助教 (90806697)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードがん悪液質 / 熱産生遺伝子 / 脂肪分解
研究実績の概要

本研究は、非悪液質担がんマウスおよび悪液質担がんマウスの腫瘍遺伝子発現および血漿組成を比較して、がん悪液質における脂肪分解の発症メカニズムを探索し、創薬ターゲットとなりうる因子の発見を目的としている。
計画当初、非悪液質担がんマウスと悪液質担がんマウスとを比較する予定であった。しかし研究を進めるうちに、非悪液質担がんマウスの悪液質が軽度である原因が当初の想定と異なり、分譲機関が持つがん細胞の性質に依存している可能性があること、また、対照となる悪液質担がんマウスを得るためのがん細胞の分譲が不可能であることが明らかとなり、非悪液質担がんマウスおよび悪液質担がんマウスの比較を予定通りに実施することはできなかった。そこで本年度は、がん悪液質モデルマウスの脂肪分解発症メカニズムを検討するために、担がんマウス(がん投与群)と対照群(PBS投与群)の脂肪における熱産生遺伝子発現の比較を行った。その結果、がん悪液質モデルマウスの萎縮した脂肪組織(鼠蹊部皮下白色脂肪組織および精巣上体白色脂肪組織)において、熱産生遺伝子としても働く筋小胞体/小胞体カルシウムATPaseであるSerca2bの遺伝子発現が増加しており、Serca2bのがん悪液質の関与の可能性が明らかとなった。がん悪液質では、高カルシウム血症を発症することが報告されており、本モデルマウスにおいても有意に高い血漿カルシウムレベルを確認した。Serca2b遺伝子発現の上昇は、がん悪液質におけるカルシウム恒常性の破綻と脂肪萎縮との関連性を検討する上で重要な知見となると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

計画当初は非悪液質担がんマウスと悪液質担がんマウスとを作製し、比較する予定であったが、非悪液質担がんマウスの悪液質が軽度である原因が当初の想定と異なることが明らかとなった。そこで、計画を修正し、担がんマウス(がん投与群)と対照群(PBS投与群)とを比較してがん悪液質の脂肪分解メカニズムの探索を行っている。進捗としてはやや遅れているが、研究期間内に十分な成果を出せると見込んでいる。

今後の研究の推進方策

今年度の結果を踏まえ、担がんマウスを用いて、癌悪液質が軽度の状態(前悪液質期)と重度の状態(不応性悪液質期)の脂肪における熱産生遺伝子の発現を検討し、その発現の原因について探究することで、がん悪液質の新規予防法および治療法の発見を目指す予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 脂肪分解機構の謎:がん悪液質に挑む2024

    • 著者名/発表者名
      笠井智香
    • 雑誌名

      Precision medicine

      巻: 7 ページ: 55-58

  • [学会発表] Time-dependent changes in the expression of a novel cancer cachexia-related gene, Serca2b, in mice expressing cancer cachexia symptoms.2024

    • 著者名/発表者名
      Satoka Kasai, Sho Sato, Kento Namiki, Rinka Obata, Shun Yokoshima and Kazumi Yoshizawa
    • 学会等名
      The 10th International Postgraduate Conference on Pharmaceutical Science (iPoPS)2024
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] がん悪液質モデルマウスにおいて、Ucp-1非依存的熱産生遺伝子Serca2b発現が増加する2023

    • 著者名/発表者名
      笠井智香, 佐藤翔, 並木賢人, 横島駿, 野崎優香, 樋上賀一, 吉澤一巳
    • 学会等名
      第44回日本肥満学会/第41回日本肥満症治療学会学術集会

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公開日: 2024-12-25  

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