研究課題/領域番号 |
23K14760
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
小林 絵礼奈 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (80907973)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 原発性進行性失語 / ブーバ・キキ効果 / 臨床バイオマーカー / 病型診断 / 画像解析 |
研究実績の概要 |
本研究は,原発性進行性失語 (PPA)の早期かつ正確な診断のため,PPAを対象に各種言語機能検査に加え,新たな”非”言語機能検査として”ブーバ・キキ効果”に着目した検査を開発し,PPAの国際診断基準を本邦で適応することの妥当性を検証するとともに,言語・文化の影響を受けない,PPAの背景病理を予測しうる新規の臨床バイオマーカーの開発を目指している.今年度は,PPAおよび健常者を対象に神経心理学的検査,既報告を参考に作成したブーバ・キキ課題,脳MRIなどのデータを収集した.症例数は十分でないが,semantic variant PPA (svPPA)では健常者と比較してブーバ・キキ効果が有意にみられないことが明らかになった.また,voxel-based morphometry (VBM)を用いた脳構造解析では,ブーバ・キキ課題の成績低下と左側頭葉前方の萎縮との間に有意な相関がみられた.今回の検討でnon-fluent variant PPA (nfvPPA),logopenic variant PPA (lvPPA)とsvPPA間でブーバ・キキ効果に有意差を認めなかった一因として,症例数が少ないことが考えられた.ブーバ・キキ課題はPPA病型分類,特にsvPPAの診断に有用な可能性があり,今後,意味記憶課題であるBirmingham Object Recognition Batteryのassociative match task,意味連合検査の結果と比較検討を行うことで,svPPAの診断に最も優れた検査を明らかにしていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PPA専門外来を開設したことで症例は集まっているが,進行期で検査の遂行が困難な症例や既存の病型に分類できない分類不能例が存在する.また,PPAの3病型の症例数に偏りが生じている.
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今後の研究の推進方策 |
専門外来で引き続きデータ収集を行っていく.また,単施設では症例が偏りやすいため関連施設に協力を要請してPPAの病型間の症例数の均等化を図り,さらに発症早期から中期の症例を増やしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
検査および解析用のPCの購入が必要である.また,被検者の検査中の視線,反応時間の解析のためにアイトラッカーの購入を予定している.
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