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2023 年度 実施状況報告書

リソソーム病の病態から考えるパーキンソン病の病態解明と治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K14762
研究機関順天堂大学

研究代表者

王子 悠  順天堂大学, 医学部, 准教授 (60777845)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードパーキンソン病 / リソソーム病 / プロサポシン / ゴルジ装置 / GM1ガングリオシド / LAMP2A
研究実績の概要

本研究では、パーキンソン病(PD)の病態解明のために、「家族性PDの原因遺伝子であるPSAP変異によるゴルジ装置の機能的・形態学的異常」、「ゴルジ装置の異常による種々のリソソーム蛋白の糖鎖修飾・蛋白輸送の変化」、「ゴルジ装置の異常を改善させる化合物の同定」を明らかにすることを目的としている。ゴルジ装置の形態異常であるゴルジ断片化を起こすブレフェルディンa(BFAa)を用いてSHSY5Y細胞を処理し、ゴルジ異常と脂質の変化との関連を検証する実験を行い、ゴルジ断片化を起こすBFA処理24時間後の細胞でGM1ガングリオシドの減少を示唆する実験結果を得ている。GM1ガングリオシドを含むガングリオシドはゴルジ装置で合成されるため、ゴルジ機能障害によりガングリオシドの合成が停滞し減少につながったと考えられる。GM1ガングリオシドはPD病態に関わる脂質のひとつであり、今後健常者由来iPS細胞ドパミン神経でも同様にBFA処理を行い、GM1ガングリオシドの減少の確認およびPDに関連する表現型の有無を探索する計画とする。PSAP変異によりゴルジ異常が起こるメカニズムについては引き続き解析を継続する。リソソーム蛋白の変化についてはLAMP2Aに注目しており、PSAP変異iPS細胞由来ドパミン神経ではゴルジ異常のほかLAMP2Aのタンパク量の減少があり、LAMP2AのmRNAも減少している。LAMP2AのmRNA低下に関わるmicroRNAの報告があり、現在ゴルジ異常とLAMP2Aの関連について解析を継続している。SHSY5Y細胞をBFAaで処理した細胞系の予備実験では、LAMP2Aの減タンパク質レベルの減少があり、健常者由来iPS細胞ドパミン神経でも確認を進める。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ゴルジ装置の形態的異常・機能異常と関連する脂質やタンパク質の変化を確認できつつあり順調に進展していると考える。健常者由来iPS細胞でゴルジ異常を起こす処理を行い、同様の表現型が得られるかを早急に解析する必要がある。

今後の研究の推進方策

PSAP変異によりゴルジ異常が起こるメカニズムを解析する。ゴルジに関連するタンパク質の変化挙動を解析する。SHSY5Y細胞をBFAaで処理しゴルジ形態異常を起こすことでGM1ガングリオシドの減少とLAMP2Aの減少が起こることについて確証を得て、LAMP2Aの減少に関わるmicroRNAの変化を解析する。ほかのリソソーム蛋白であるグルコセレブロシダーゼ(GCase)やGCaseのリソソーム輸送に関与するLIMP-2の変化も解析する。健常者由来iPS細胞ドパミン神経にゴルジ異常を起こし、GM1ガングリオシドの減少やLAMP2Aの減少が起こるかを解析で検証する。変化がみられた場合には、αシヌクレインの局在や凝集の傾向があるかを解析し、LAMP2Aが関与するオートファジー・リソソーム系の異常の有無も検証する。ゴルジ異常と関連するGM1ガングリオシド、LAMP2Aの変化などを明らかにし、表現型を改善する薬剤のスクリーニングにも着手をしていきたい。

次年度使用額が生じた理由

解析に必要な試薬や抗体が予定よりも安価で購入できたためであり、次年度についても細胞の培養や実験に必要な試薬や抗体の購入に使用する計画とする。

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公開日: 2024-12-25  

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