研究課題/領域番号 |
23K14785
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
奥住 文美 順天堂大学, 医学部, 准教授 (90826075)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / αシヌクレイン / RT-QuIC / 多系統萎縮症 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)やレビー小体型認知症(DLB)、多系統萎縮症(MSA)はα-シヌクレイン(AS)の凝集を特徴とする神経変性疾患でありシヌクレイノパチーと総称される。ASは病態特異的な構造をもつアミロイド性の凝集体を形成し、その凝集核が脳内を神経回路に沿って伝播し脆弱性を持つ神経細胞の変性を誘導すると考えられている。しかしながら、直接の神経接続がない領域にもASの病変は確認されており、別経路からも伝播し同時多発的に凝集する事が示唆される。これまでに申請者はシヌクレオパチー患者の血液中に存在するASシードの検出に成功し、増幅した患者血液由来のASシードが伝播活性を持つことを実証してきた。さらに、そのASシードは、疾患ごとに特徴的なコア構造をもち、伝播性も異なることも見出している。しかしながら、血液中に存在しているASシードが病態の形成にどのように関与しているのかについては未解明であった。本研究では神経回路非依存的なAS凝集体形成は、血液を介して伝播することで病態を形成する可能性を考え、血液中の病態特異的ASシードの伝播領域を経時的に検証し、さらに剖検症例の全身臓器を用いたAS凝集体の解析を行うことで、多焦点的AS凝集の形成機序を解明することを目標とした。 本研究では、疾患特異的コア構造をもつASシードを純化し、その純化した疾患特異的ASシードをマウスの血中もしくは腹腔内に投与することで、疾患特異的なASシードの血液を介した伝播解析を経時的に行う。ASシードが脳以外で作り出され脳へ伝播するという仮説が正しければ、ASシードに最も感受性の高い組織はASシードを作り出す原発性の組織である可能性が高いと推測され、その組織からの伝播経路を特定していく。また剖検症例の全身臓器を用いてASシードの分布や構造の解析を行うことで全身に広がるASシードについて解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
αシヌクレイン凝集体の血液を介した伝播解析を行うために、疾患特異的αシヌクレイン凝集体を準備する必要があるが、疾患特異的コア構造をもつASシードを純化することに成功し、かつ大量に使用できるよう増幅を行った。また剖検症例の全身臓器解析をするために、必要な組織の準備も完了した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は純化した疾患特異的シードをマウスへ投与し経時的に組織を解剖することで血液を介した伝播の解析やASシードに最も感受性の高い組織などを調べていく。さらには剖検症例の組織を用いることでヒト検体でも検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた試薬などを神経学講座で保有していたため、使用額に差が生じた。
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