研究課題/領域番号 |
23K14810
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
北風 圭介 川崎医科大学, 医学部, 助教 (80840545)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂質メディエーター / リゾリン脂質 / グリセロホスホジエステラーゼ / リゾホスホリパーゼD / 脂質代謝 / 16p11.2欠失症候群 / 小胞体ストレス / 小胞体ストレス応答 |
研究実績の概要 |
16p11.2 領域のゲノムコピー数変異(16p11.2 欠失症候群)は様々な精神疾患発症の原因となる。16p11.2 欠失症候群の病態には脂質代謝の変化が重要であることが示唆されているものの、該当領域には複数の脂質代謝酵素がコードされており、疾患発症メカニズムの理解は十分には進んでいない。GDE7 は16p11.2 領域にコードされるリゾホスホリパーゼD型酵素であり、リゾホスファチジン酸(LPA)等のリゾリン脂質メディエーターを生成する。また、予備的研究により、GDE7は環状ホスファチジン酸(cPA)生合成活性を持つ可能性が考えられた。cPAはLPAと類似した構造を持つリゾリン脂質メディエーターであり、神経細胞の生存促進作用や神経突起の伸長促進作用を持つことが知られている。一方でGDEファミリーメンバーであるGDE4は同様にLPAを産生するが、cPA生成活性を持たない。GDE4およびGDE7を介したLPAとcPAレベルの調整が疾患の発症・進展に重要な因子であると予想されたことから、本研究ではGDE4/7と16p11.2 欠失症候群の関連を解明し、新規治療法開発へと発展させることを目指した。 本年度は(i)GDE7が小胞体内腔でcPAを産生すること、(ii)産生されたcPAは脂質メディエーターとして機能すること、(iii)GDE4/7の発現が小胞体ストレスによって誘導されること、を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GDE7が脂質メディエーターとしてのcPAを小胞体内で産生することが確認出来た。GDE4およびGDE7の発現制御機構についても明らかになりつつある。病態生理学的意義の解明を目指して次の実験を進めており、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
GDE4およびGDE7の発現制御機構について引き続き詳細に解析する。また、GDE4およびGDE7が産生したLPA/cPAの標的についても解析し、病態とGDE4/7の関連を明らかにする。
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