研究課題/領域番号 |
23K14833
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
成田 啓廣 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10770208)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 観察者実験 / contrast detailダイアグラム / 画質評価 / CT画像 / 空間分解能 |
研究実績の概要 |
本研究は,CT装置の空間分解能指標である点広がり関数(Point spread function: PSF)およびスライス感度分布(Slice sensitivity profile: SSP)に基づき,仮想肺内結節像“Virtual nodule”を生成する.そして,様々な線量で撮影した遺体のCT画像にVirtual noduleを挿入し,観察者実験によって結節検出能を調べる. 2023年度は,一般撮影領域における画像の画質評価の方法としてよく用いられるcontrast detail(C-D)ダイアグラム法にVirtual noduleを適用し,Virtual noduleの観察者実験への適応の可能性について検討した.C-Dダイアグラム法とは,対象物の大きさやコントラストを系統的に多数変化させたファントムの画像を視覚評価するものであり,検出可能な対象物の大きさやコントラストを評価することができる.C-Dダイアグラム法では,様々な大きさやコントラストを有する被写体を撮影する必要がある.一般撮影領域では,そのような被写体を作成することが容易である.しかし,CTでは三次元的なデータを扱うことから,スキャン平面だけではなく体軸方向のボケの影響を評価するために,被写体として球体などを用いる必要があり,直径やコントラストを系統的に多数変化させた球体を含むファントムを作製することは困難である.そこで,様々な大きさ・コントラストの病変信号を作成し,CT画像に挿入することができるVirtual noduleを用いて,CT画像におけるC-Dダイアグラム法を新たに考案し,読影医による観察者実験を行った.これにより,Virtual noduleの観察者実験への適応が有用であることが示されるとともに,観察者実験によるCT画像の新たな画質評価方法を考案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CT装置の空間分解能指標であるPSFおよびSSPの測定を行い,得られたPSFとSSPデータを用いて,様々な大きさと濃度のVirtual noduleの生成は完了している.また,2023年に,新潟大学死因究明教育センターにおける死後CT検査の撮影条件の見直しが行われた.これに伴い,以前は,通常業務としての撮影に加えて研究のための追加撮影を必要としていたため同意書の取得を要していたが,通常業務としての撮影データのみで研究を行うことが可能となったため,同意書取得に時間を要し,迅速に撮影が行えなかったために研究対象とすることができなかった症例も,今後は対象となることが期待できるため,死後CTの撮影・画像の収集を円滑に遂行可能であると考える.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に引き続き,死後CTの撮影・画像の収集を行う.対象者数は10例程度を予定している.対象者数が少ない場合は,次年度も継続して撮影・画像の収集を行う. 得られたCT画像にVirtual noduleを埋め込み,観察者実験に着手する.実験は申請者(診療放射線技師資格を有する)と読影医が行う予定である.観察者実験で得られた結果を精査し,Virtual noduleの生成や画像への埋め込み,および観察者実験の条件設定など一連の処理の適正を検証し確実なものとする.
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