研究実績の概要 |
本研究の目的は、長時間の勤務による画像診断医の精神疲労が、医療を受ける患者(診断結果)に及ぼす影響は明らかにすることである。複数人の画像診断医に、疲労が少ない状態と長時間労働後の疲労が蓄積した状態で種々の診断タスク([1]胸部X線写真[n=100, 肺結節検出]、[2]頭部造影MRI[n=40, 脳転移検索]、[3]肝転移検索[n=40, 腹部造影CT]、肺転移検索[n=40, 胸部非造影CT])を依頼し、診断能の差を比較する。診断前後で、疲労度を主観的、客観的に評価する。また、胸部X線写真による肺結節検出タスクでは、病変を見逃しているのか(perception error)、見ているのに認識していない(interpretation error)のかを区別する。2023年度は、読影実験に使用する画像の抽出、読影環境および疲労度計測法の決定を行った。 (1)読影実験に使用する画像の選定:画像診断医の精神疲労を評価を目的とした課題に使用する画像([1]胸部X線写真、[2]頭部造影MR画像、[3]腹部造影CT画像)の収集を行い、[1]、[2]に関しては収集を終えた。 (2)画像診断医の疲労度計測法:主観的評価として[1]アンケートへの回答、客観的評価として[2]フリッカーテスト、[2]クレペリン検査(和法、1分×5回)を行うことに決定した。フリッカー値測定器Ⅱ型(自動型)を購入し、クレペリン検査を施行するタブレットアプリ(Kraepelin Training)を選出した。 (3)Eye-trackerのセットアップ:胸部X線写真の評価では、perception error、interpretation errorを区別するため、画像診断医の視線を記録できるeye-traker systemを購入し、セットアップに着手した。
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