研究課題
これまで継続してきた研究の一環として、膵臓癌に対してX線SBRTを行った症例のCT画像データを用いてInter-fractional motionの解析を行った。この研究では日々撮像されたCT画像を用いて、腫瘍と消化管の最短距離から消化管線量が予測できるかについて検討を行った。その結果、消化管線量が特に問題となる胃・十二指腸においては、日々の最短距離から消化管線量を予測することは困難であることが示唆された。また日々のCT画像の解析から、消化管には一定程度のinter-fractional motionが存在することも示唆された。本研究内容については国際学会での発表を経て原著論文として英文雑誌に受理された。また膵臓癌・肝臓癌における適応陽子線治療の有用性を検討するために、院内での前向き臨床試験を開始した。2023年8月に院内の倫理審査委員会で研究プロトコールが承認された。2023年12月に1例目の症例登録(膵臓癌)を行い、CT画像情報の収集と適応治療の有用性について検討した。症例登録から陽子線治療終了まではプロトコール通りに治療可能であった。1例目については治療途中に適宜陽子線の線量評価を行い、治療計画の変更について検討したが、おおよそ意図した通りに線量投与がなされており、計画変更は不要であると判断した。これらの初期の探索的な研究結果の一部について3月の国内学会で発表を行った。今後も症例登録を進め適応陽子線治療への知見を蓄積すると共に、統合的な画像データ解析に必要なCT画像の収集を行う予定である。
3: やや遅れている
研究プロトコールの承認まで時間を要し、さらに準備期間を要したために実際に症例登録が始まったのは2023年12月であった。症例登録は開始されたものの、研究期間内に目標症例数を達成するに当たってはやや研究が遅れている。
進捗はやや遅れているものの、院内での研究プロトコールの承認は得られ研究は開始された。また研究を遂行するにあたり必要不可欠な医学物理部門をはじめとする他部門の協力も得ることができている。今後は目標症例数集積に向けて症例登録をさらに進めると同時に、画像データの解析を進めていく予定である。また適応陽子線治療を達成するために必要な付随する研究課題についても研究を進める予定である。
国内学会参加のための旅費を計上していたが、研究進捗の遅れにより参加しなかった。次年度以降の学会参加費として計上する予定である。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
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