研究課題/領域番号 |
23K14873
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
永山 泰教 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60791762)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 小児CT被ばく / 深層学習超解像技術 / 画像再構成法 |
研究実績の概要 |
小児に対するCT検査では放射線被ばくの影響が懸念され、線量の最適化が重要である。近年、深層学習による超解像技術をCT画像に応用した「超解像深層学習画像再構成法(super-resolution deep-learning reconstruction: SR-DLR)」が開発され、臨床導入されつつある。この技術がもたらす画像解像度の向上は、小児CTの診断能向上と被ばく低減に貢献できると期待される。本研究は、超解像DLRの画質特性を包括的に検証し、小児CTに対する被ばく低減撮像の臨床応用を目指している。
令和5年度はSR-DLRの心臓用パラメータを用いて、ファントム実験による基礎的な画質検証と心臓CTへの臨床応用を行った。ファントムを用いた検証では、良好なノイズ特性と高い解像度が両立されるというSR-DLRの物理特性が明らかとなった。またSR-DLRでは他の再構成法と比べ、被ばく線量を低減しても良好な画質が保たれることも確認され、特に小焦点撮影が被ばく低減と解像度向上に有用との結果が得られた。また成人の冠動脈疾患が疑われる症例と冠動脈ステント症例を対象に臨床画像の画質評価を行った。ファントム実験同様、SR-DLRではノイズ低減と解像度向上が確認され、他の再構成手法と比べて心血管や冠動脈プラーク、ステント内腔の視認性が向上するとの結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SR-DLRの心臓パラメータを用いて、ファントムおよび成人冠動脈CT症例で画質評価を行い、他の再構成手法との画質特性の違いを明らかにすることができた。研究成果は国内外の学会で発表を行っており、また原著論文として国際学術誌に2編出版することができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在利用可能なSR-DLRの心臓パラメータについてより詳細な検証を行うとともに、新たに導入予定の体幹部および肺野用のパラメータについても評価を行う予定である。現時点で小児CTは検査数が限られているため、引き続き症例を蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
基礎的画質検証のためのファントムを貸出可能であったため、次年度使用額が生じた。次年度以降、ファントム作成や学会発表、論文発表などに支出予定である。
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