研究実績の概要 |
本年度は脳腫瘍患者の造影MRIから擬似メチオニンPETを生成する人工知能アルゴリズムの開発を行なった。 アルゴリズム学習用のデータセットとして大学病院データセットを使用した。 アルゴリズム評価用のテストデータとして、大学病院テストデータセットとオープンソースのGliomaのデータセットの2つを使用した。 大学病院テストデータセットの評価指標としてメチオニンPETの病変部の最大/平均Standardized uptake value(SUV)と正常大脳皮質の平均SUVの比(それぞれmaximum/mean tumor to background ratio(TBRmax, TBRmean))と病変部体積を用いた。擬似メチオニンPETと実際のメチオニンPETのTBRmax, TBRmean, 病変部体積のピアソン相関係数はそれぞれ0.68、0.76、0.92であり擬似メチオニンPETと実際のメチオニンPETの各指標は強い相関を示した。 オープンソースのデータセットではメチオニンPETが施行されていなかったため頭部造影MRIから生成した擬似メチオニンPETの病変部のTBRmaxとTBRmeanを用いてlow-grade gliomaとhigh-grade gliomaの鑑別に関するReceiver Operating Characteristic解析と全生存期間解析を行った。Low-grade gliomaとhigh-grade gliomaの鑑別能はTBRmaxとTBRmeanでそれぞれArea Under the Curveが0.81、0.78と高い精度で鑑別できた。また擬似メチオニンPETのTBRの高値群と低値群に分けると高値群は低値群と比較して有意に短い生存期間であり(P値=0.01未満)、予後予測にも有用であった。
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