研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)の病理学的特徴の一つは、脳内アミロイドβの凝集および蓄積によっておこる老人斑であり、アミロイドPETによる脳内のアミロイド蓄積の可視化は、ADの早期診断および鑑別や治療薬開発に大いに役立つことが期待される。アミロイドPETは保険収載に至ったものの、高額な検査であるため、検査前のスクリーニングとしてアミロイド蓄積を推測する指標が望まれる。MRIは侵襲性や被ばくもなくPETに比べて患者負担が非常に少ない検査であり、これまでADの客観的な診断指標として、早期診断や鑑別診断、進行度評価に用いられてきた。
青斑核はADにおいて最初にリン酸化タウが蓄積する部位であるが、青斑核のメラニン濃度がADの病態と関連するかどうかはいまだ研究段階であり、その診療的意義は未確立である。青斑核のメラニン濃度と脳内のアミロイド蓄積との関連を評価することで、アミロイドPET前のスクリーニングや疾患修飾薬の治療効果判定等に貢献すると考えられる。本研究はADスペクトラム患者(MCIおよび早期AD)と健常者において、アミロイドPETおよびMRIのメラニン画像を収集し、アミロイドβの脳内への蓄積と青斑核のメラニン濃度との関連を検討することを目的とする。
まずはAD患者と健常者のリクルートを行い、頭部MRI,アミロイドPETを行う。アミロイドPETの定量値はAmyquantを用いてSUVR、センチロイドスケールを算出した。青斑核のメラニン濃度の定量値方法について今後確立し、両者の相関を検討する。
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