研究課題/領域番号 |
23K14948
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
田村 彰広 神戸大学, 医学研究科, 特命准教授 (90841180)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 神経芽腫 / 抗SIRPα抗体 / 抗GD2抗体 |
研究実績の概要 |
まず初めに、実際の神経芽腫におけるGD2発現の頻度や強度を解析した。神戸大学医学部附属病院、兵庫県立こども病院で新たに診断された神経芽腫患者の腫瘍標本37検体に対し、抗 GD2 モノクローナルマウス抗体を使用し免疫組織化学染色を行った。 結果:組織学的分類は、低分化または未分化型神経芽腫が 27 例、分化型神経芽腫が 1 例、神経節芽腫結節型が 5 例、神経節芽腫混合型が 3 例、神経節腫が 1 例であった。 低分化または未分化型神経芽腫の 27 例のうち、GD2 の染色強度は 6 例で弱染色性、12 例で中間染色性、9 例で強染色性であった。GD2 陽性細胞の割合は 10 例で 50 ~ 90%、17 例で 90% 以上であった。分化型神経芽腫の1例ではGD2の染色強度は強染色性で、GD2陽性細胞の割合は90%以上であった。神経節芽腫結節型の5例では、未分化な神経芽腫の部分と分化した神経節細胞の部位により GD2 発現は異なるパターンを示した。神経節芽腫混合型の 3 例では、GD2の染色強度は1 例で中間染色性、2 例で強染色性であり、GD2陽性細胞の割合は 3 例とも 90% 以上であった。 神経節神経腫の1例では、GD2 の染色強度は弱染色性で、GD2陽性細胞の割合は 90% 以上であった。 本研究を通じて、神経芽腫患者の腫瘍検体における GD2の発現は非常に不均一であることが実証された。この成果については、第16回国際小児がん学会アジア大会(SIOP Asia 2024)で発表予定である。 さらに、GD2陽性細胞株とGD2陰性細胞株それぞれについて、抗GD2抗体と抗SIRPα抗体の併用効果を解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、詳細な条件検討を行い、GD2免疫組織化学染色法を確立した。そして、実際の神経芽腫患者検体を用いたGD2の免疫組織化学染色データを集積し、臨床データとの統合的解析を行い、学会発表予定である。また、抗GD2抗体と抗SIRPα抗体の併用効果についても、条件検討が完了し、解析を開始している。したがって、おおむね順調に研究が進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
In vitroおよびIn vivoにおいて、神経芽腫に対する抗GD2抗体と抗SIRPα抗体の併用効果を解析する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、一定の自己資金からも試薬の購入を行った。次年度は、免疫不全マウスを使用した大規模な解析を開始するため、マウスや試薬購入に充てる予定である。
|