研究課題/領域番号 |
23K14954
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
澤田 貴彰 熊本大学, 病院, 特任講師 (40839065)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ポンペ病 / 新生児スクリーニング |
研究実績の概要 |
乳児型ポンペ病は、1日でも早い治療開始が求められる先天代謝異常症である。早期診断を目的 に、乾燥ろ紙血(DBS)を用いた酵素活性測定法による新生児スクリーニングが、欧米を中心に行わ れている。わが国においても、一部の地域で行われているが、乳児型ポンぺ病発症に関わらない特定の遺伝子variantの存在が偽陽性率を高め、早期診断の妨げとなっている。わが国では2種類の偽欠損に関わる遺伝子variantが報告されているが、われわれが先行して行なった新生児スクリーニングでは加えて2種類の偽欠損に関わる可能性のあるvariantが検出されており、合わせて4種類のvariantが原因と考えられる。 本研究では、スクリーニング検査に用いた検体を用いて、それらの特定の遺伝子variantを検出することで、スクリーニング陽性者における乳児型ポンペ病のリスク評価システムを構築することを目的とする。そのために、DBSを用いた定量PCR法とデジタルPCR法による2種類の検出系を開発する。 2023年度には定量PCR法による検出系の構築を行なった。具体的には目標とする4種類の特定の遺伝子variantに対するプライマーとプローブの設計を行なった。この検出系を用いてすでに遺伝子解析結果が判明している保存DBS検体を測定したところ、正確に遺伝子variantの有無を検出できることを確認した。 2024年度の予定は今回構築した測定系を用いた、4種類の遺伝子variantの同時検出が可能かを実際のDBS検体を用いて確認することである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通り、2023年度においては定量PCRによる検出系の構築を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に4種類の遺伝子variantに対する定量PCRによる検出系を構築したが、それぞれの遺伝子variantを検出するためには4回の定量PCRを行うことを要する。実際の新生児スクリーニングに導入するためには、これら4種類の遺伝子variantを同時に測定する系が必要であり、2024年度にはこの同時測定系を構築する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬代や物品費用が、想定していたよりも費用がかからなかったため。プライマーとプローブの設計が想定していたよりも少ない回数で適切な設計が行われたことも影響している。また予定していた学会に日程的に参加ができなかったこともある。 2024年度に予定している研究においては、今設計しているプライマーとプローブで同時測定を目指すが、それが難しい場合は複数回設計し直す可能性があり、生じた当該助成金はそれに当てる予定である。また発表可能な成果が得られた場合は、学会での発表のために旅費が増加する可能性があり、それにも充てる予定である。
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