研究実績の概要 |
本研究では、免疫正常マウスに生着可能なマウス細胞株として遺伝子改変マウスとしてApc-KO,p53-R178H,Kras-G12D,Tgfbr2-KO,Cdh1-KOの癌化オルガノイドを作成した。作成したオルガノイドは、免疫不全マウスに加えWTマウスの皮下移植実験においても生着可能であることが、確認できた。続いて、化合物スクリーニングの効率を上げるために、癌化オルガノイドを培養条件を検討し、マトリゲルなしで平面培養が可能なクローンの取得を試みたところ、RPMIに10%のウシ血清を添加した培養液で増殖可能なクローンを取得することができた。 平面培養化した細胞株についても、WTマウスへの皮下移植実験を行ったところ、癌化オルガノイドと同じように腫瘍形成がおこることが確認できた。形成された腫瘍を確認したところ、強い線維化と血管浸潤、血球浸潤を伴う腫瘍形成であることが確認できた。 間質系細胞の存在が重要である可能性が示唆されたことより、次にマウスの腸管より繊維芽細胞を採取して、平面化した癌化オルガノイドと共培養実験を行ったが、間質系細胞と癌細胞株との増殖スピードに大幅な相違があり、間質系細胞が排除されてしまう結果となった。次に、血球系細胞との共培養を実施したところ、血球系細胞の増殖は緩やかなものの、癌細胞の増殖が低下傾向となり、共培養をすることに成功した。続いて血球系細胞が活性化に必要なNFAT経路をルシフェラーゼアッセイにて評価したところ、癌細胞株との共培養で活性化していることが確認できた。
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