研究課題/領域番号 |
23K15014
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
古田 陽輝 熊本大学, 病院, 特任助教 (00869513)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | クローン病 / 肛門病変 |
研究実績の概要 |
クローン病の一部では痔瘻が初発症状として発症するが、腹部症状のない症例ではクローン病と診断されず、腸管病変が進行して診断されるケースも少ない。その一因に痔瘻の治療の際に、病理学的検索がなされるが、一般的な評価では診断が困難であることが挙げられる。本研究では、クローン病関連の痔瘻に関する新規バイオマーカーを検出することで、より早期にクローン病診断を可能とすることを目的として開始した。 クローン病関連の肛門病変サンプルよりRNAを抽出し、網羅的解析を行うことで、その候補蛋白を同定することとした。クローン病関連病変のコントロールとして、特発性の痔瘻を対象とすることとした。そこでクローン病関連の痔瘻病変26検体と特発性痔瘻26検体を選出した。HEの病理所見を比較したが、クローン病26病変においても炎症程度や線維化程度にvaliationを多く認めたため、網羅的解析を行なってもばらつきが多くなることが示唆された。そこで、炎症の程度が比較的均一で、クローン病の肛門病変として特徴的な皮垂を解析することとした。 クローン病に合併した皮垂5例、特発生痔瘻に合併した皮垂5例を抽出し、同ホルマリン固定された検体からRNAを抽出した。良好なqualityのRNAであることを確認し、同検体をSMART seqにより網羅的解析を行った。 現在結果を解析中で、候補遺伝子を抽出し、それらの発現について上記26検体のCD関連痔瘻においての発現を確認する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、痔瘻から抽出したRNAをRNA-seqする予定であったが、痔瘻病変にHE所見でvaliationが多かったため皮垂を検体として解析することとしたため若干の遅れがでた。しかし、その後同病変から良好なRNAを抽出可能であり、解析することに成功しているため概ね順調とした。
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今後の研究の推進方策 |
上記網羅的解析により検出された、候補遺伝子について蛋白発現を解析するため、痔瘻病変を用いてIHCやPhenocycler systemを用いた空間解析にて検証していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新規バイオマーカー候補を抽出し、その後、その妥当性の検討にはphenocyclerなどの詳細な検討をする必要があると考えられ、その検体数も多数にわたることが予想されたため計上した。
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