研究課題/領域番号 |
23K15016
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐々木 文郷 鹿児島大学, 医歯学域鹿児島大学病院, 講師 (40735297)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | ESD後合併症 / 抗血栓患者 / 消化管出血 |
研究実績の概要 |
早期消化管癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が広く普及した。しかし、粘膜広範な粘膜下層剥離後の消化管狭窄を中心と した課題が残 されている。物質・材料研究機構の田口らは、組織に対して高い接着性および 血管新生能を有する高接着性ゼラチン疎水化ミクロ粒子: Hydro phobized microparticles (以下hMPs)を開発した。また、我々は、HGFの傷害消化管粘膜の再生・修復および抗潰瘍効果を報告した。 本研究は 、このhMPsおよびrh-HGFを用いて、消化管粘膜剥離面に対する被覆材の臨床開発を 目指して、中動物(ミニブタ)を用いた薬効・薬理試験を行 うことである。 今回の研究の中心である、Hydrophobized microparticles (以下hMPs)は、粘膜剥離面に対して強固に接着し、ESD後出血を予防する可能性を考えた。しかし、hMPsの内視鏡治療後出血に対する予防効果を明らかにする動物モデルは存在しなかった。 本年は、中動物であるミニブタを用いて内視鏡治療後出血モデルを確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、抗血栓内服患者の増加に伴い、ESD後に生じる遅延性出血が大きな問題になっている。今回の研究の中心である、Hydrophobized microparticles (以下hMPs)は、粘膜剥離面に対して強固に接着し、ESD後出血を予防する可能性を考えた。しかし、hMPsの内視鏡治療後出血に対する予防効果を明らかにする動物モデルは存在しなかった。 本年は、中動物であるミニブタを用いて内視鏡治療後出血モデルを確立した。ミニブタに対し、全身麻酔下に外頚静脈にカテーテルを挿入。内視鏡を用い胃内に内視鏡的粘膜結紮術を併用した内視鏡的粘膜切除法(EMRL)で粘膜欠損部位を作成し、その後、留置したカテーテルから未分画ヘパリンを経静脈投与し、定期的に活性化凝固時間(ACT)を測定し、ACTが220秒以上となるまで50U/kgのヘパリンの投与を繰り返した後、ヘパリン持続投与(50U/kg/hr)を開始した 。24時間後に胃粘膜切除後の潰瘍底からの出血による血液貯留、凝血塊を認め、再現性のある遅延性出血モデル動物の作成法を確立した。 今回作成した遅延性出血モデル動物を用いることで、遅延性出血を予防するための製剤やデバイスの有用性を明らかにする動物実験が可能となる。また、遅延性出血を予防するための製剤やデバイスの有用性を明らかにする動物実験への用途が考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
動物モデルが確立したたへ、hMPsの出血予防効果について検討する。HGFの安定化について、含浸方法を含め、検討を続けている。
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