研究実績の概要 |
研究代表者は、肝特異的マイクロRNAのPCRアレイを使用し、ウイルス性急性肝炎(非急性肝不全型)とウイルス性急性肝不全患者の血清を比較することで、9つのマイクロRNA(hsa-let-7g-5p, hsa-miR-126-3p, hsa-miR-16-5p, hsa-miR-21-5p, hsa-miR-223-3p, hsa-miR-23a-3p, hsa-miR-30c-5p, hsa-miR-4516, hsa-miR-451a)を見出した。validationを行うために、他施設共同研究とし(各施設の倫理委員会承認済み)、ウイルス性急性肝炎(非急性肝不全型)とウイルス性急性肝不全患者の血清を集めた。それらの血清よりマイクロRNAを抽出し、9つのマイクロRNAについて、RT-qPCRで定量比較を行っている。また、本研究は、validationされたマイクロRNAが肝細胞や周囲の細胞に与える影響を検討することで、肝炎の重症化にどのように寄与しているのかを明らかにするものであるが、in vitroでのウイルス性肝炎モデルや脂肪肝炎モデルを確立しそれらマイクロRNAの発現量の変化を比較することで、マイクロRNAが肝臓に与える影響を予測できる。また、ウイルス性肝炎モデルや脂肪肝炎モデルにマイクロRNAの過剰発現やノックダウンを行うことで、実臨床での肝炎重症化機序に近い検討を行える可能性がある。そのために、肝炎ウイルスを複数の肝癌細胞株に感染させたモデルを作成し、オレイン酸とパルミチン酸を配合したFree Fatty Asid(FFA)を濃度や時間を変えて肝癌細胞株に添加することで、in vitroでのウイルス性肝炎モデルや脂肪肝炎モデルを確立した。これらの肝癌細胞株は、ウイルス量を real-time RT-PCRで確認した。また、肝癌細胞内の脂肪の蓄積をOil Red O染色で検討した。さらに、interleukin-6など炎症反応に関与するサイトカイン遺伝子の発現を real-time RT-PCRやELISAで確認した。
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