研究課題
in vitroにおける解析としてIL-8が好中球に与える影響を解析するため、HL-60細胞を使用し、好中球への分化を誘導することで解析を行うことを考えた。HL-60の基本的培養条件を検討するとともに、好中球への分化誘導のため、ビタミンD3やPhorbol myristate acetate(PMA)による刺激を行い、遺伝子変動を確認した。SQSTM1の遺伝子発現は増加傾向が認められた。一方、IL-8受容体であるCXCR1・CXCR2の発現の変動を確認したが有意な変動は見られなかった。また、肝細胞癌に対する免疫治療の臨床的検討については、アテゾリズマブ・ベバシズマブを導入した患者について臨床データの収集・解析を行った。血中可溶性免疫チェックポイント蛋白(sICP)の血中濃度と肝細胞癌患者における化学療法との関連性などにも着目し、治療開始前と治療開始後4-7日における血液検体を用いてsICPの血清中濃度を測定し、治療開始後早期におけるsICP濃度の変化とAtezo+Bevの治療効果や生存期間との関連について解析した。最良治療効果がCR/PRの群は、SD/PDの群に比較して治療開始前のsBTLA濃度中央値が高かった(138.45 vs 106.11 pg/mL, p=0.022)。治療開始前sBTLA濃度高値群は低値群と比較して無増悪生存期間(PFS)中央値が有意に長く(9.3 vs 4.2か月、p=0.003)、sBTLAはAtezo+Bevの治療効果や予後予測に有用な新規バイオマーカーとなる可能性が見出された。
3: やや遅れている
老化肝星細胞の樹立やHL-60細胞の条件検討などに時間を要し、実験遂行に時間を要している。また、肝癌の新規免疫治療導入症例も想定ほど多くなく、さらなる症例蓄積が必要である。
老化肝星細胞と肝癌細胞や好中球との相互作用について基礎的検討を継続する。また、免疫治療導入症例の症例蓄積と保存血清などの生体資料収集を継続し、臨床的データを継続して取得していく。
実験計画に遅れが生じているため、予定としていた使用額に達せず、次年度使用額が生じた。
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