研究課題/領域番号 |
23K15109
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
平出 貴裕 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20897673)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 難治性血管病 / RNF213 / 遺伝子 / マウス実験 |
研究実績の概要 |
RNF213 R4810Kバリアントは、日本人を含めた東アジア人に特有の遺伝学的変化であり、肺動脈性肺高血圧症やもやもや病、末梢性肺動脈狭窄症など、複数の難治性血管病の発症に関連している。これらの全身血管病は既存の薬剤に対する反応性が乏しく、根治療法は確立していない。これまでRNF213 R4810Kバリアント陽性マウスを作製し、低酸素環境下で肺高血圧症モデルを作製した基礎研究を遂行し、肺高血圧症を呈したRNF213 R4810K変化陽性マウスにおいて炎症性ケモカインが有意に上昇しており、阻害薬投与により肺高血圧症が軽症化したことから、この炎症性ケモカインが肺高血圧症発症に関与していることを明らかにした。この炎症性ケモカインは、ヒトの肺高血圧症患者肺検体においても同様の変化があり、臨床現場への応用が期待される研究成果であった。本研究では、RNF213 R4810Kバリアント陽性マウスを用いて、脳動脈や肺動脈、大動脈、腎動脈などの全身血管病の病態解明を行い、肺高血圧症のみならず他の難治性血管病における新規創薬ターゲットの探索を実施することが目的である。マウスに対して低酸素負荷やアンジオテンシン変換酵素阻害薬、high-fat dietなどの血管障害を加え、各血管の表現型を確認する。また肺高血圧症で着目した炎症性ケモカインに対する阻害薬投与も実施し、全身の血管病変が抑制できるかも検証を行う。難治性血管病に対する創薬を目指した基礎研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID19感染拡大の影響で動物実験室の使用が制限され、現状やや進行は遅れている。炎症性ケモカインに着目した肺高血圧症病態解明の研究成果は現在論文投稿に向けて準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
大動脈や腎動脈、脳動脈などの解析を進めている。また低酸素負荷以外の血管病を惹起する因子を投与する研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2024年度はマウスやヒトの病理標本評価のため、各種抗体や解析費に費用を充てる予定である。実験は全体的にはやや遅く進行しており、余剰金が発生しているが、実験が今後順調に進むよう研究計画の見直しを行っている。
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