研究実績の概要 |
我々ははこれまでに、神経分化に関わる転写調節因子NRSFが心不全の病態進展過程に深く関与し、心筋の恒常性維持に重要であることを明らかにしてきた。本研究課題はどのようにNRSFが心不全発症・進展に関わるかについてさらなる分子機序の解明を目指すものである。 成体心筋細胞においてもNRSFが病的ストレスに対して保護的に働いていることを検証するためにタモキシフェン投与により心筋細胞特異的に遺伝子の組み換えを起こすαMHCcre-ERT2-Tgマウスを用いることで成体(8週齢)において後天的にNRSFを心筋特異的にノックアウト(NRSF icko)した上で横行大動脈縮窄(TAC)を行い、コントロールマウスと比較したところ、より早期の心収縮能低下や生存率の低下をきたした。 またNRSFと複合体を形成するHDAC1,2を同様にタモキシフェン投与により心筋細胞特異的に遺伝子の組み換えを起こすαMHCcre-ERT2-Tgマウスを用いることで成体(8週齢)において後天的にHDAC1,2を心筋特異的にノックアウト(HDAC1,2 icko)した上で横行大動脈縮窄(TAC)を行い、コントロールマウスと比較したところ、こちらもコントロールマウスと比較して早期に心拡大、心収縮能低下をきたすことが明らかになった。
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