研究実績の概要 |
当院でAPAと診断し、副腎切除術を施行し摘出した79症例で検討した。副腎腫瘍内にCYP11B2を発現して、アルドステロンを産生している腺腫部分を同定した。KCNJ5, ATP1A1, ATP2B3, CACNA1D, CTNNB1のプライマーを作成し、次世代シークエンサーを使用して、腺腫から体細胞変異の有無・種類を同定した。genotypingできていない10症例を除外し、69症例で検討を行った。46例がKCNJ5変異を持っており、23例がその他の変異であった。血管内皮機能を定量的に評価する方法として確立されているFMD、血管平滑筋機能を定量評価する方法としてNID、および血管スティフネスとしてbaPWVを手術前と手術後3か月で測定を行った。また、我々の血管機能データベースから、本態性高血圧患者を組み入れ、プロペンシティースコアマッチングを行い、本態性高血圧と比し、KCNJ5変異群、KCNJ5変異以外の変異群でFMD、NID低下していた。baPVW, 上腕動脈IMTは有意差なかった。KCNJ5変異群は3か月後のFMD、NIDが有意に改善したが、KCNJ5変異以外の変異群ではNIDのみの改善であった。KCNJ5変異を持っているAPA患者は早期に血管機能の改善が得られる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当院でAPAと診断し、副腎切除術を施行し摘出した副腎検体を使用し、副腎腫瘍内にCYP11B2を発現して、アルドステロンを産生している腺腫部分を同定した。KCNJ5, ATP1A1, ATP2B3, CACNA1D, CTNNB1のプライマーを作成し、次世代シークエンサーを使用して、腺腫から体細胞変異の有無・種類を同定した。血管内皮機能を定量的に評価する方法として確立されているFMD、血管平滑筋機能を定量評価する方法としてNID、そしてROCK活性の測定、および血管スティフネスとしてbaPWVを手術前と手術後3か月で測定を行った。Study 1, 2: 体細胞変異ごとに分類し、血管機能、血管スティフネスを比較することで、動脈への影響の違いを明らかにすることが目標であったため、Study 1,2がおおむね完了したため。
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