研究課題/領域番号 |
23K15135
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
木野 旅人 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (00829608)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / 心筋治癒 / 心筋繊維芽細胞 / Rcn3 |
研究実績の概要 |
Rcn3はCD4+Foxp3+T細胞を介して、心筋の治癒(Regeneration)に関与している可能性が先行研究から明らかになった。Rcn3は小胞体(ER)内に存在するシャペロンタンパクであり、ヒトT細胞(Jurkat cell)株において、心筋細胞障害時にはERストレスが生じ、IRE1やAtf4、Atf6 pathwayを活性化させるが、Rcn3遺伝子を導入したJurkat cellsは特にIRE1とAtf6が有意に活性化した。また、その下流のGRP78/BiPやGRP94、EDEMも同様にRcn3遺伝子導入したJurkat cellsで有意に活性化したことが判明した。Rcn3タンパクは心筋繊維芽細胞に作用して、PI3/AKTカスケードを介してコラーゲンIの生成を抑制していることは以前明らかにしたことからもマウス白血球細胞特異的にRcn3遺伝子をkonck-out(KO)させたconditional KO(cKO)マウスを作成した。Lck-Rcn3 cKOマウスに心筋梗塞を生じさせたところ、日齢1(P1)マウスでは心筋梗塞後に心筋治癒を起こすが、Lck-Rcn3 cKOマウスでは左室機能は完全には改善せず、線維化した心筋細胞の範囲も大きくなることが分かった。その機序としてLck-Rcn3 cKOマウスでは,コラーゲンIとIIIの生成が亢進しており、TGFβやActa2も上昇を認め,線維化の亢進していることが明らかになった.したがって、心筋治癒機能を有するP1マウスでは、CD4+Foxp3+T細胞のRcn3が心筋障害時に生じるERストレスに対して心筋保護的、すなわちコラーゲンI生成を抑制して抗線維化作用が心筋治癒に重要であることが判明した。上記内容を第87回日本循環器学会学術集会(JCS2024)にて口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Rcn3の機能についての基礎検討を行った。In vitroでは小胞体内におけるRcn3の検討を行い、ERストレスに関与する可能性が示唆された。また、Rcn3タンパクを培地に含んだ培養液を心筋繊維芽細胞に与えることで、心筋繊維芽細胞の線維化を抑制することが判明した。In vivoでは、Lck-Rcn3 コンディショナルノックアウトマウスを作成し、そのマウスは心筋治癒の機能を失い、心筋障害後に線維化を抑制できないことが分かった。また、以上、研究進捗状況としては、In vivoの検討まで達しており、計画段階における目標の3/5行程まで達成している。
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今後の研究の推進方策 |
Rcn3の発現から分泌・標的細胞への移動まで様々な修飾を受けると考えられる。その過程を明らかにするために、様々なタンパクとの結合を調べることができるタンパクアレイを用いて候補のタンパクを検出する。In vivoの実験として、Rcn3を過剰発現させたトランスジェニックマウスを作成し、心筋障害に対する反応、特に線維化について検討を行う。また、In vitroで候補となったタンパクとの生体内での相互作用を検証し、Rcn3活性化または維持に関与する遺伝子・タンパクを明らかにし、心筋治癒の過程を明らかにすることが目標である。
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次年度使用額が生じた理由 |
トランスジェニックマウス作成するため、次年度使用額が生じた
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