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2023 年度 実施状況報告書

心不全患者に対する、身体診察動画とAIを用いた非侵襲的うっ血評価技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K15168
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

白石 泰之  慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (00752700)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード心不全 / うっ血 / 画像情報 / 人工知能
研究実績の概要

世界的な心不全患者の増加(6400万人)とその医療および社会経済的な負担が大きな問題となる中、現在の心不全診療における最大の課題は「うっ血悪化により繰り返される心不全増悪(急性非代償性心不全)」である。心不全増悪イベント前後で患者の症状や身体機能・ADL、quality of life(QoL)は著しく低下し、退院後も元の状態まで改善しないことが少なくなく、これはひいては健康寿命の短縮につながっている。したがって、心不全増悪の早期診断やその後の疾病管理などより良い体制構築が喫緊の課題である。
一般診療で行われる頸静脈怒張の有無の身体診察評価は、心不全の主病態であるうっ血(=心内圧上昇)を反映し、心不全の診断や治療選択、反応性評価に極めて重要である。しかしながら、循環器専門医においてさえ頸静脈の評価はときに判断が難しく(肥満や解剖学的理由)、その評価には十分な経験と熟練を要する。
本研究では、心不全増悪の高リスク患者を事前に同定しうる指標に乏しい現状において、人工知能サポート下で、頸部の動画情報から頸静脈怒張の有無ないし心内圧を直接推定するアルゴリズムを開発する。循環器医不在の医療機関内外において、心不全の早期診断、たとえば、呼吸苦/浮腫など一般内科外来や健康診断など、また在宅での心不全疾病管理に広く応用が想定され、かつカメラ機能搭載スマートフォン等で世界中どこでも利用可能であり、前述の課題克服に大きな貢献が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

頸部の動画撮影は のべ3000例 を超え(右心カテーテル実施例は850例)、人工知能を利用した解析を実施するに十分な人数にすでに到達している。

今後の研究の推進方策

本研究では、慶應義塾大学病院に通院中で心臓カテーテル検査を予定する患者に対して、従来の循環器診療で行われてきた非侵襲的な身体診察である頸静脈怒張の有無を動画としてデータ収集を行う。まず、循環器専門医複数人による頸静脈の視診所見、および心臓カテーテル検査で得られた正確な心内圧指標と、頸静脈怒張の動画情報に深層学習など人工知能を応用し、正確な非侵襲的な血行動態評価アルゴリズムを開発する(ステップ①)。令和5年度に前述の通りに十分な症例数に到達している。
令和6年度には、人工知能を使用した実際のアルゴリズム開発を進め、次にこうした技術をPCやタブレット、スマートフォン等の情報端末機器上で展開するアプリケーション等を作成する(ステップ②)。さらに、診療での貢献性を明確にするため、UI/UXに優れたアウトプット用画面を実装し、心不全専門外来や入院病床での個別対応を開始する。研究期間内で、同アプリケーションを使用することで、具体的な行動変容の帰結を確認・評価する(ステップ③[ここまで若手研究範囲])。
本研究の最終ゴールは、外来心不全患者の同技術使用下における疾病管理の向上(使用群と非使用群でのアウトカム比較)ならびに呼吸苦・浮腫などを扱う一般内科外来や健康診断での心不全早期診断への有用性を検証することである。

次年度使用額が生じた理由

研究補助者の雇用費(人件費)や、人工知能を使用した解析を実施するために環境調整費に使用を当初予定していた。上記は今後は必須となるため、次年度以降で調整を図る予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] Risk-based Approach in Heart Failure2023

    • 著者名/発表者名
      白石 泰之
    • 学会等名
      第27回 日本心不全学会学術集会
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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