研究実績の概要 |
胸部レントゲン画像を用いて左房容積係数を算出する regression CNNモデルを構築し、その有用性を検証することを目的とした研究を行っている。現在、2022年1月から8月までの期間に日本大学医学部附属板橋病院にて心血管疾患が疑われ心臓超音波検査と胸部レントゲン検査を施行された約500例の胸部レントゲンデータを収集した。1500例までのデータ収集を継続していく予定である。また、並行して、心不全レジストリ(SAKURA HF Registry-2, UMIN 000043852)の構築を行っている。同レジストリデータを使用し、現在心不全加療の中心となっている治療薬SGLT2阻害薬のreal worldでの予後改善効果を調査し、論文発表を行った。2018年から2022年までに心不全レジストリに登録された急性心不全症例を対象とし、心不全入院中のSGLT2阻害薬の予後との関連を検討した。入院中にSGLT2阻害薬が投与された群は、投与されなかった群に比し、退院後の死亡と心不全再入院のイベント発症率が有意に低かった(log-rank test, p<0.001)。また、左室駆出率に関わらず、SGLT-2阻害薬の投与と低イベントリスクは関連があった。これらの結果から、急性心不全患者において、SGLT-2阻害薬はLVEFに関わらず予後改善と関連することを示すことができた。これらの結果をESC Heart Failure. doi: 10.1002/ehf2.14597.2023(査読あり、Mizobuchi S, Saito Y, et al)として発表した。
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