研究代表者は過去の研究において、HIF活性化作用を持つHIF-PH阻害薬を肥満・2型糖尿病モデルマウスに投与すると、糖尿病性腎症が軽減することを見出した。このメカニズムを検討するため、近位尿細管特異的HIF-PHノックアウトマウスを作製したところ、体血圧が低下し、糖尿病発症時にはアルブミン尿が抑制されることが明らかとなった。腎臓におけるHIFが血圧や糸球体内圧の調節に関与し、腎保護作用を発揮する可能性がある。 近位尿細管特異的HIF-PHノックアウトマウスで血圧が低下するメカニズムを模索する中で、同マウスの腎臓ではある血管拡張物質の発現が増加していることが明らかとなった。このペプチド・ホルモンの関与について検討するため、siRNAを用いてこの物質のノックダウンを試みたが、十分なノックダウン効率を得ることができなかった。今後はこのペプチド・ホルモン受容体のアンタゴニストを用いた検討を予定している。
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