研究課題/領域番号 |
23K15280
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
林 良太 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (10649213)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 掌蹠角化症 / 魚鱗癬 |
研究実績の概要 |
1. 遺伝性角化症の新規原因遺伝子の同定 掌蹠角化症、縮毛症、化膿性汗腺炎、体幹を中心とする色素斑、脱色素斑を呈する常染色体顕性遺伝形式の家系のエクソーム解析を行った。昨年までに家系内の罹患者3名、非罹患者1名の解析によりアレル頻度1%未満かつ病原性の乏しい変異を除外した結果、約50の候補バリンとに絞っていた。本年度は新たに罹患者4名、非罹患者1名のエクソーム解析を追加し、本疾患の原因遺伝子と考えられる遺伝子Xの変異を同定した。遺伝子Xは遺伝性疾患として報告をされている遺伝子であるが、本家系の一部の症状は呈するものの、過去の報告とは明らかに臨床症状が異なっていることが示唆された。現在、主に色素斑、脱色素斑に着目し、患者検体を用いて遺伝子Xのコードするタンパクの発現を行っている。 2. 遺伝性角化症の遺伝子解析 既存検体および新たに受診された遺伝性角化症の患者検体を用いて遺伝子解析を施行した。掌蹠角化症の1名はSERPINB7に遺伝子変異が同定され、長島型掌蹠角化症と確定診断することが出来た。また、心疾患と魚鱗癬様症状を対する患者の遺伝子解析により、病状を説明しうる遺伝子変異を同定した。また、既知の原因遺伝子に変異が同定されていない患者検体を用いてエクソーム解析を施行したが、現状原因遺伝子の特定には至っていない。 3. 先天性魚鱗癬のバイオマーカー探索 本年度は新たな先天性魚鱗癬患者の受診はなく、追加でサイトカインの探索を施行することは出来なかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規原因遺伝子の同定に関しては、本年度の研究により原因遺伝子の同定に繋がっており、順調に進んでいると考えている。一方で、魚鱗癬におけるバイオマーカー探索に関しては新たな検体を得られず、遅れている。 しかし、本研究の最大の目的である原因遺伝子の同定には至っていることから概ね順調に進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1. 遺伝性角化症の新規原因遺伝子の同定 本年度に原因遺伝子が同定できた家系に関しては引き続き、皮膚組織検体、毛髪検体を用いて、原因遺伝子と患者でみられた所見の関連性を明らかにしていく。特に、患者では幼少期に細かい脱色素斑があり、加齢とともに色素斑がみられることから、同定された遺伝子とメラノサイトの関係、加齢に及ぼす影響について解析を行っていく。 2.遺伝性角化症の遺伝子解析 新たに受診された患者の解析は引き続き行っていく。 3. 魚鱗癬のバイオマーカー探索 新たな患者が受診された際にサイトカイン解析を施行する。
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