研究課題/領域番号 |
23K15289
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
渡邉 裕子 (國見裕子) 横浜市立大学, 医学部, 講師 (10567605)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 重症薬疹 / Stevens-Johnson症候群 / 中毒性表皮壊死症 / バイオマーカー / 抗Ro60抗体 |
研究実績の概要 |
本研究では、重症薬疹として知られるStevens-Johnson症候群(SJS)および中毒性表皮壊死症(TEN)における重症化および予後の予測因子として、抗SS-A抗体に焦点を当てた。抗SS-A抗体は、シェーグレン症候群(SjS)や全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患患者において一般的に検出される自己抗体であるが、本研究では重症または予後不良のSJS/TEN患者、とくに重症度の高いTENの約30%と高頻度に検出されることを確認した。さらに、抗SS-A抗体の抗体価は、SJS/TENの重症度や予後と相関することを明らかにした。この抗SS-A抗体はSJS/TEN急性期に上昇がみられるが、治癒後に低下することが示され、SJS/TENの病勢や病態による一過性の産生であることが考えられた。これらの内容についての研究成果を学術論文で発表した。抗SS-A抗体は、その対応抗原に応じて抗Ro52抗体と抗Ro60抗体の2種類に分類される。患者血清を用いた研究により、このうち抗Ro60抗体との関連性が強いことを明らかにした。現在、抗Ro60抗体およびその標的であるRo60抗原に着目し、SJS/TENの病態に与える影響に関する研究を施行しており、SJS/TENの患者検体およびヒト表皮細胞を用いた機能実験を遂行している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
この研究の進捗はおおむね順調である。患者データの収集が迅速に行えており、臨床的な解析を基に学術論文を発表することができた。一時的に培養細胞や試薬の供給に困難があったものの、基礎実験は各段階での問題解決が効率的に行われている。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、抗Ro60抗体の標的であるRo60抗原に焦点を当てた研究を予定している。まず、患者検体を用いて、Ro60抗原の発現を評価する。次に、細胞実験を用いてSJS/TEN類似の細胞死を誘発して、Ro60抗原の発現について解析を行う。さらに、細胞実験として、抗Ro60抗体の有無で細胞死や炎症反応の変化が生じるかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
機能実験に使用する培養細胞や試薬の供給不安定により、該当年度に検討していた実験が行えなかった。次年度の購入を予定しているため、使用額の繰り越しが必要である。
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