研究課題/領域番号 |
23K15296
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
吉藤 康太 東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (20830128)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 原発性眼球内リンパ腫 / 中枢神経浸潤 / 網羅的遺伝子解析 / 中枢神経進展リスクモデル / 付加的遺伝子異常 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、原発性眼球内リンパ腫(PVRL)の診断時/再発時硝子体、中枢神経浸潤時の脳組織や脳脊髄液等の臨床検体を用いて網羅的遺伝子解析を実施し、中枢神経領域への進展に寄与している遺伝子異常を探索することである。 初年度は、まずPVRLの初発時硝子体検体を用いて中枢神経進展に寄与する遺伝子異常の探索を行った。36例のPVRL患者の初発時硝子体検体からDNAを抽出し、2例で全エクソンシーケンス、34例でカスタム遺伝子パネルを用いたアンプリコンシーケンスを実施した。カスタム遺伝子パネルは、全エクソンシーケンスの結果および全身性DLBCLや中枢神経系原発悪性リンパ腫の発症や進展に寄与していると報告されている107遺伝子を抽出し作成した。その結果や全身性DLBCLや中枢神経系原発悪性リンパ腫の発症や進展に寄与していると報告されている遺伝子異常を抽出し、107遺伝子をカバーするカスタム遺伝子パネルを作成した。遺伝子変異解析およびコピー数解析を行い、中枢神経進展に寄与する遺伝子異常としてETV6の欠失およびPRDM1の異常(変異および欠失)を同定した。さらに、これら2つの遺伝子異常を用いたPVRLの中枢神経領域への進展リスクモデルの構築に成功した。 現在PVRLの中枢神経進展時の脳検体を用いた付加的遺伝子異常の同定を試みている。PVRLで発症しその後中枢神経領域への進展時に脳生検を実施しFFPEとして保存されている検体からDNAを抽出し、同様のカスタム遺伝子パネルを用いてアンプリコンシーケンスを実施中である。その後初発時の硝子体検体での遺伝子異常プロファイリングと比較し、中枢神経領域への進展に関与する付加的遺伝子異常を探索する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
36例のPVRL患者の初発時硝子体検体からDNAを抽出し、網羅的遺伝子解析を実施した。遺伝子変異解析およびコピー数解析を行い、中枢神経進展に寄与する遺伝子異常としてETV6の欠失およびPRDM1の異常(変異および欠失)を同定した。さらに、これら2つの遺伝子異常を用いたPVRLの中枢神経領域への進展リスクモデルの構築に成功した。現在論文投稿中である。 研究は順調に進行していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
現在、PVRLの中枢神経進展時の脳検体を用いた付加的遺伝子異常の同定を試みている。PVRLで発症しその後中枢神経領域への進展時に脳生検を実施しFFPEとして保存されている検体からDNAを抽出し、同様のカスタム遺伝子パネルを用いてアンプリコンシーケンスを実施中である。その後初発時の硝子体検体での遺伝子異常プロファイリングと比較し、中枢神経領域への進展に関与する付加的遺伝子異常を探索する予定である。 また、脳脊髄液のcell-free DNAも用いた微小病変を検出する実験系の構築を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在投稿中の論文が採択された際に掲載費として使用する予定であった。数日前に採択通知が来たため、今後論文の掲載費として使用予定である。
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