研究課題
通常は増殖抑制的シグナルであるTGF-beta経路が、HTLV-1感染細胞/ATL細胞では増殖促進に寄与するメカニズムとして、RNA-seqの結果から、主にmyc関連遺伝子が増殖へ寄与することが明らかとなった。詳細なメカニズムとして、RNA-seq及びChIP-seqの結果から、HTLV-1感染細胞ATL細胞特異的な標的遺伝子を同定した。さらに、マスサイトメーターによるマルチパラメータータンパク解析(CyTOF)において、標的遺伝子のタンパク質の発現と、TGF-betaタンパク質の発現が患者由来のATL細胞で正の相関があることを確認した。
2: おおむね順調に進展している
HTLV-1感染細胞/ATL細胞に特異的なTGF-beta経路による細胞増殖促進機構が明らかとなった。研究計画の実験から、意義のある結果が出ており、論文報告(Proc Natl Acad Sci U S A., 2024)を行った。引き続き研究計画を進め、更なる結果も得られており、概ね順調に進んでいる。
hA3G/HBZダブルTgについては作成し、観察中である。皮膚炎や腫瘍の発症率の解析を行い、hA3GのATL発がんにおける役割の解明を行う。また、TGF-beta経路の活性化によるHBZの機能への影響についても現在解析を進め、興味深い知見が得られている。得られた実験結果を用いて、論文作成に着手する。
現在観察中のマウスモデルの解析の際に、RNA-seq, ATAC-seq, ChIP-seqなどの次世代シークエンスを用いる予定である。また、TGF-beta活性化によるHBZの機能への影響について、新規アッセイ系を確立しており、次年度に多くの検体で解析予定であることから、研究試薬の購入が必要となる。以上の理由から研究費を繰り越す必要があった。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (7件)
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