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2023 年度 実施状況報告書

血液凝固第Ⅸ因子由来ペプチドの血管保護作用を用いた脳内出血治療のための革新的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K15309
研究機関日本大学

研究代表者

藤原 祐輔  日本大学, 医学部, 助手 (10969265)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード脳出血 / 血液凝固因子
研究実績の概要

血液凝固第九因子は流血中を循環しているタンパクで、創傷が生じるとactivation peptideが切断されて活性化し、血液を凝固させる。当分野では、化学合成したactivation peptide(以下F9-AP)を静脈内投与することにより、頭部外傷モデルでの脳浮腫が改善することを報告した。F9-APの投与によって血液脳関門の保護を行うことで、二次的脳損傷を抑制し、機能的予後を改善した。本研究では、脳内出血モデルラットを用いて、F9-APが脳内出血後の炎症に及ぼす抑制効果と、それによる治療効果を解析することを目的とする。
本年度は、脳内出血モデルラットを作成し、脳内出血領域の評価、神経学的機能を検討した。脳内出血モデルは、ラットの頭蓋骨に骨窓を形成し、線条体に細菌性IV型コラゲナーゼを微量注入器で一定速度で注入することによって脳内出血を誘発し作成した。モデル作成直後に、治療群には3mg/kgのF9-AP、対照群には3mg/kgのPBSを尾静脈内に投与し、以降は24時間ごとに投与した。脳内出血後1日目から7日目までそれぞれで脳実質を摘出し、脳の冠状断切片を作製し、脳内出血領域の計測を行った。
脳内出血領域は脳内出血後1日目をピークに7日目まで徐々に縮小する傾向にあった。治療群においては対照群と比較して脳内出血領域が縮小する傾向にあった。また予後不良になった個体を測定すると、ほぼすべてで5立方ミリメートル以上の脳内出血領域を認めた。
神経機能評価は前肢立ち直り試験、後肢牽引試験、Beam-waking試験を用いて評価した。
神経学的機能において、治療群は対照群と比較して良好なスコアとなり、軽快傾向を示した。また、重篤な運動障害が認められた個体の脳内出血領域を確認したところ、多くは出血が脳室を穿破し拡大していた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本年度は、脳内出血モデルラットを作成し、脳内出血領域の評価、神経学的機能を検討した。
現在、脳内出血モデルは6mmの深さで30Gの注射針を線条体に刺入し、2μlの生理食塩水で希釈した細菌性IV型コラゲナーゼを局所的に一定速度で注入することによって脳内出血を誘発し作成している。しかし個体による血管走行の違いやコラゲナーゼを投与する座標のぶれなどが原因で、同じ部位に定量的に脳内出血を作成することは困難であり、さらには術中に予後不良となる個体も続出した。そのため、コラゲナーゼの量や希釈濃度、注入速度、刺入深度などを様々に調整し、安定した脳内出血モデルの作成が行えるよう条件付けを行った。その結果現在行っている上記条件を設定した。そのため、当初想定していたよりはるかに多くの時間を消費し、予定の調整を要している。

今後の研究の推進方策

本年度は、脳内出血モデルラットを作成し、脳内出血領域の評価、神経学的機能を検討した。脳内出血領域はモデル作成後1日目をピークに7日目まで徐々に縮小する傾向にあった。この傾向はまだプラトーとなっておらずさらに継続する可能性を示した。
そのため来年度は、14日目(2週間)、21日目(3週間)、28日目(4週間)を観察点に追加し、脳内出血領域の計測と神経学的機能の評価を追加して行う。
またエバンスブルーを用いて血液脳関門の評価を行う。さらには経心臓的に採血(5-10ml)し、血清学的解析を行う。炎症反応の評価のために血清中のCRP、酸化型LDL、IL-6、IL-23を測定する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症の影響で学会の多くはまだオンデマンドやWEB開催であり、旅費に差額が生じた。またコラゲナーゼの市場流通が滞っており、購入が困難であったため差額が生じた。差額については、次年度に学会参加やコラゲナーゼ購入に充当する。

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公開日: 2024-12-25  

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