研究課題/領域番号 |
23K15352
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
住吉 玲美 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (70859363)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | キャッスルマン病 / iMCD-TAFRO / iMCD-NOS / TAFRO症候群 / CHAPスコア / TAFRO症候群重症度 / 腫大リンパ節領域数 |
研究実績の概要 |
特発性多中心性キャッスルマン病(idiopathic multicentric Castleman disease:iMCD)は、多発するリンパ節腫大と高炎症を特徴とするリンパ増殖性疾患であり、iMCD-TAFROとiMCD-NOSに大別される。臨床経過や治療反応性は様々で、病態に多様性があることが示唆される。また、リンパ節腫大がないTAFRO症候群についてもiMCD-TAFROとの異同については結論が出ていない。近年、腫大リンパ節領域数が重症度や病型を規定する可能性が米国から提案されているが、病態との関連は不明な点が多く、検討の余地が大きい。 解析対象の321例のうち、腫大リンパ節の領域数に応じて、腫大リンパ節なし(None: N=26)、1領域(Local: N=48)、2領域以上で病変が横隔膜を境に片側にだけある(Regional: N=52)、横隔膜を境に両側に認められる(Multiple: N=195)の4群に分類した。それぞれをTAFRO徴候の有無でさらに分けた。TAFRO徴候がない場合、腫脹リンパ節の領域数での分類では、組織型、臨床病型、検査値、CHAPスコアに有意差はなく、腫脹リンパ節領域数によって臨床的特徴を見出すことは困難であった。TAFRO徴候がある場合も、腫脹リンパ節の領域数での分類では、組織型、臨床病型、検査値、CHAPスコアに有意差はなかった。一方で腫脹リンパ節領域数が少ないほど初回診断時の透析率が有意に高かった。これはリンパ節腫脹が乏しいことで診断が遅れ、診断された時点で既に腎合併症が進行して透析が導入された可能性が考えられた。また、TAFRO徴候がある場合、Multiple群では重症度の低い症例もみられており、TAFRO症候群の重症度Gradeの結果からみても、多発リンパ節腫大があると診断が早期につきやすいことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腫大リンパ節領域数と臨床的特徴についてはある程度結果が出ているため。
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今後の研究の推進方策 |
腫大リンパ節の領域数によって分類した各群において、末梢血のフローサイトメトリー解析や血清蛋白解析、単一細胞RNAシーケンスなどをすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では、サイトカイン測定やフローサイトメトリー、RNAシーケンス用の試薬をR5年度に購入予定であったが、まず臨床的評価から行ったため、次年度以降に試薬の購入を予定している。
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