研究課題/領域番号 |
23K15370
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
青木 宏美 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特別研究員 (90970351)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | HBV / 薬剤三リン酸化 / LCMS / E-CFCP / 核酸アナログ |
研究実績の概要 |
申請者のグループが同定した、E-CFCPは、これ迄に既存薬と異なりHBV増殖を完全にブロックすることを観察し、その高い抗HBV効果はE-CFCPの良好な細胞内透過性およびE-CFCP活性発揮本体であるE-CFCP 3リン酸化体(E-CFCP-TP)の高い細胞内生成量とその維持が主因であることを示してきた。また、E-CFCPが既存の核酸アナログとは異なり極めて強力にHBV複製を抑制するが、その理由が、細胞内濃度の移行能だけでは説明できないことを示唆するデータを得てきた。核酸アナロク型逆転写酵素阻害剤(NRTIs)は細胞内に取り込まれた後、細胞内でリン酸基転移を触媒する酵素、ヌクレオシド2リン酸キナーゼ(NDPK)などにより活性型の三リン酸化体になりウイルス逆転写酵素の基質として作用し抗ウイルス活性を発揮するとされる。しかしE-CFCPおよび既存のNRTIsが核酸アナログとしてリン酸化を受ける効率などの検討は限定的であるか未検討のままである。本研究では今年度、まず、薬剤三リン酸化体のLCMSでの測定検出感度を上げるべく、waters社のOASISカラムを用いてサンプル処理方法を検討した。様々な検討の結果、単体はOASIS MAXを、三リン酸化体はOASIS WAXを用いてサンプル処理することで測定感度を上げることに成功した。またETV, E-CFCP, TAF, ADV, 3TCをHepG2.2.2.15に加えて、6時間後の残存する薬剤三リン酸化体を測定したところ、細胞内移行性、抗ウイルス活性と乖離するようなデータが得られた。このことより、薬剤の三リン酸化効率や薬剤貯留性が抗ウイルス活性と関連があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では今年度、まず、薬剤三リン酸化体のLCMSでの測定検出感度を上げるべく、waters社のOASISカラムを用いてサンプル処理方法を検討した。様々な検討の結果、単体はOASIS MAXを、三リン酸化体はOASIS WAXを用いてサンプル処理することで測定感度を上げることに成功した。またETV, E-CFCP, TAF, ADV, 3TCをHepG2.2.2.15に加えて、6時間後の残存する薬剤三リン酸化体を測定したところ、細胞内移行性、抗ウイルス活性と乖離するようなデータが得られた。このことより、薬剤の三リン酸化効率や薬剤貯留性が抗ウイルス活性と関連があることが示唆された。 検出感度を上げるための実験方法再構築に時間がかかってしまったため、予定していた計画より、やや遅れて、研究計画を遂行している状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、E-CFCPを始めとした抗HBV剤の細胞内リン酸化の動態と三リン酸体の細胞内貯留性の検討を進めるとともに、ヌクレオシド2リン酸キナーゼ(NDPK)による各薬剤のリン酸化効率を、NDPKの細胞内発現を増強させたり、減弱させたりすることで検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度の研究実施に関わる物品については、他の共同研究等による機器使用、実験方法等と同じものであったため、購入金額が抑えられ次年度使用額が生じた。次年度は、本研究に特化した物品購入が必要になってくるため、翌年度分として請求した。
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