研究課題/領域番号 |
23K15390
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
内田 啓一郎 京都大学, 高等研究院, 特定研究員 (80869701)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | VLDL / in vivo screening / 肝細胞 / Apob / sgRNA library |
研究実績の概要 |
今年度はin vivoスクリーニングのシステムの確立を行った。当初、生体内への肝細胞へのレンチウイルスベクターのトランスダクションが困難であったが、方法を改良し、高率にレンチウイルスを感染させる方法を新規に確立した。実際にレンチウイルスライブラリーを生きたマウスに投与し、肝細胞を回収し、取り込まれたsgRNAを次世代シークエンサーで解析したところ、実際にソート予定の細胞数の1%の細胞から、ほぼすべてのsgRNAを検出でき、十分なカバレッジを確認できた。 またこれまでセルソーターでの大規模なソーティングは困難とされていたが、こちらについても新規の手法を樹立し、スクリーニングを可能とできるだけの十分な肝細胞をソーティングすることを可能とした。 当初、細胞内Apobの検出を抗Apob抗体にて検出する方針としていたが、商業ベースで販売されている抗Apob抗体で、フローサイトメトリーで使用可能なクオリティを有するものはなかった。そこでApobにHAタグを付加したノックインマウスを作成し、抗HAタグ抗体にて検出を行う方針に切り替えた。実際に、CRISPER-Cas9の技術を用いてApobにHAタグを付加したマウスの作成に成功し、Apobが抗HA抗体にて検出・定量化が可能であることを確認した。現在Cas9のノックインマウスとの交配を行いダブルノックインマウスを作成している最中であり、順調に交配が進んでいる。 またin vivoでウイルスを用いて肝細胞の遺伝子を効率的にノックアウトするシステム、および過剰発現するシステムについても樹立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レンチウイルスの肝細胞への導入、肝細胞のソーティング、Apobの検出など、当初計画を進める中で、複数の障害が見つかったが、そのすべてに解決策を樹立することができ、スクリーニングを進めるに値する充分なsgRNAカバレッジを確認できた。Apobの定量化の方法についても樹立でき、あとは交配を進め、スクリーニングを行うのみである。 スクリーニングで特定した遺伝子の機能解析をin vivoで行うためのシステムについても樹立し、スクリーニングの結果をシームレスにin vivoの機能解析へ繋げることができる状態にある。
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今後の研究の推進方策 |
作成したノックインマウスとCas9ノックインマウスとの交配を進め、ダブルノックインマウスを作成し、樹立した方法でレンチウイルスライブラリーの感染を行い、肝細胞を回収し、抗HAタグ抗体で免疫染色を行い、樹立した方法でスクリーニングを進める。 これまでin vivoで直接肝細胞の表現型を行うスクリーニングの方法は細胞増殖に関連する表現型に限られていた。その中で今回樹立した肝細胞の表現型のスクリーニングの手法はあらゆる表現型への拡張の可能性を有しており、既に医学的に重要な別の肝細胞の表現型についてのスクリーニングについても進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
別実験での使用物品で賄えたため。
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